Mark Levinson ML-2L レストア整備録 ~10~ EIコア完成! 

Mark Levinson ML-2L レストア整備録 ~10~ EIコア完成!


若き日のジョン・カールやマーク・レヴィンソンが目指した音…….

迸る勢いと瑞々しいつややかさがサウンドとして結実!!ジョン・カールはML-2Lを設計、

開発する際に1個の部品を決めるまで100パターン以上のパーツを

一人でヒアリングし決定したと言われています。

トータルではレヴィンソンが聴いてGOを出したんでしょうね。

フルレストア ML2L 完成

昨日から試聴室へ持込み試聴を繰り返しています。これまでコーン型の91,2dB程のスピーカーから、能率が100dB程あるHartsfieldで音だしをしています。
他アンプと比較しても過去最高の実測S/N比で静けさの中からナチュラルに音像が屹立する様子は生まれ変わったと言って良いでしょう。JBL 375 は気持ちよさそうに歌ってて、音数や楽器のグラデーションは段違い。ベールが3枚は剥がれたような。。。このML-2Lは販売済ですが買い戻しても良いくらい(笑)

これまで世界一!?と疑問符を入れてましたが、これ以上のML-2L(EI)は存在しないでしょう!ML2Lを担当した技術担当は、世界中のML2Lに関する技術資料を集め、300時間以上の時間をかけました。整備マニュアルにはすべての調整箇所が記されていませんので、豊富な経験と創造力がいる作業の連続。

No.20.6Lとの簡易レビュー

販売中ですので多くは書きませんけど、、Hartsfieldでは通常整備状態のNo.20.6Lでは比較できません。が、これも精度を出せば応えてくれるはずです。特にハイの楽器の鳴らしわけ諧調の音数はML-2lが圧巻。フルレストアしたML-2LはMX-R twentyや大きなVIOLA、ヴィンテージではTELEFUNKEN V69aの完全オーバーホール等と比べてどうか?というところ。

JBL4344では?

JBL4344になると20.6Lの2231のゴリッとしたドライブ力も魅力的ですが、すこし音像が緩めでしょうか。使いこなしで充分対応可能そうです。2420、2405辺りの音域はやはりML-2Lが良い印象。もしかするとML2LとNo.20.6Lのバイアンプはかなりイイ線になるかもしれません。

先程、遊びにいらした知り合いのスタジオ・オーナーさんも、シンバルの銘柄、種類、スティックで叩いている箇所がわかり、真鍮のアタック音からワーーンとなって、その先のジリジリまで出ていると。マイクの銘柄や本数、距離までわかりやすいです。英語の発音が聴き取りやすく、和音進行やハーモニー、アンサンブルの構造等も追いやすい。録音ブースの状況やデジタルエフェクト処理の有無など、モノラルアンプ2台の精度がパーフェクトではないかと。強いて言えばHartsfieldのウーファーがもう少し沈むと理想との事。


ML2Lの交換パーツ

レストア前に行われていた、代理店交換パーツが下の写真です。

モトローラTR1個とコンデンサー、ダイオード類

どのパーツがどれで、どう悪かったのかは不明ですね。ペアでの交換はされていません。

過去に交換されてきたTRの種類(規格は同じでも形状からして異なっています)

ヴィンテージハイエンドの憂鬱。

上の写真は2台のML2Lに搭載されていた、モトローラ製トランジスタです。修理を行う都度、製造年度がバラバラのトランジスタがマッチングされずに使用されていました。結果的には7種類が混在(7913は1979年の13週製造という意味)。トランジスタでこの状態で、他部品も同様。何度も書きましたがこの個体だけではありません。シングルプッシュ等では一斉に交換できるかもしれませんが、ML2Lの場合は同一ロットとするためには24個を交換します。修理オーダーの場合は不良Tr交換だけとなる事は仕方がないでしょう。
2015年から今年8月迄他機器等4,50台は整備をかけましたが、中を見ると整備履歴がわかりますが、、、難しいですね。。メンテLOGに登場しない、多くの機器も似たようなものです。

Mark Levinson ML-2Lの交換部品 

今回交換したパーツが下記の写真(20個位のパーツはなくしています。170個位のパーツ)。よく聞かれますのが「オリジナル部品とちがうのはいかがなものか?」と。30年前のデッドストックパーツが適正値を示したペアや必要数が揃えば問題はありません。が、現実的には揃いません。ML-2Lのダイオード等は1960年のトランジスタアンプが登場した時代の部品も使用されています。

2、30年経たML-2Lを複数台調べたところ、中には電流制御が効かず異常発熱した部品があり、平滑コンデンサーの容量が計測不可「0」が混じり、かつ安全弁から液漏れし乾いたオリジナル部品、出力トランジスタの製造年代がバラバラ、その他部品も修理毎に左右・+-バラバラです。過去の修理履歴では国内で入手できないため、整備マニュアルにない不適格部品で修理されていました……..あるのは時間経過で劣化した電子部品の数々と、左右ちぐはぐな部品の数々。Mark levinsonのアンプだけではありません。

現在も国内では調達できないオリジナルパーツの入手は可能です(日本国内では数が揃わない事が多々)。また安定動作させるべき部分はオリジナル部品の10倍のコストがかかっても現代のパーツを選択します。音色を支配する部品と動作安定性を長期に渡って担保させるべき部分の見極めが重要です。

ML-2Lの公称出力は8Ω負荷時25Wですが、ジョン・カールの設計想定時の実パワーは40W。実測出力値は38W(4台のフルレストアしたML-2Lは同じ出力値)。ML-2Lの実出力は、25W(8Ω)ではありません。ML-2Lは38WのAクラスアンプで、ダミー負荷装置を造って計測すれば各部の電圧、電流も分かる事です。

パワーアンプのレストアについて

レストアは開発・設計者の意図、コンセプトを知り、回路の特徴(実際に計測する)や音を知り、技術担当と音の傾向や回路、部品についてを散々擦り合わせる事がスタートです。闇雲にオリジナルではレストアの意味がないのです。動作不良を引き起こすオリジナル部品もあるからです。有名ブランド品の偽物はブランド物のハンドバッグだけではありません。。。アジアでは有名ブランドの電子パーツの偽物も多数生産され、日本へ輸入もされていますので見極める事が重要です。
ML2Lで言えば、1つのトランジスタに流れる電流がものすごい(27 V/50A)ので、電流を制御する部品の精度が悪かったり、耐用期間が短いと壊れます。過電流が流れる場合や電圧が一定しない場合も多々あります。

設計者が指定したパーツは、本当に使いたかったのか、コスト的な制約があったのかを検討します。高価なハイエンド製品でも低グレードのパーツが使われている事は多々あります。同価格帯のハイエンドアンプでも最初から航空宇宙グレード部品やMIL規格グレード、オーディオグレード、普通の電子パーツまで様々です。ブランドや製造年代によって異なります。多角度から検討しますが、基本はオリジナルに準拠します。設計者の意図を回路や音、他に設計した製品から探る事は最終的に良い結果につながります。

ML-2L、2台、フルレスオア分の交換パーツ約190個(選別外パーツ含めて、パーツ購入費 65万円)

今回のMl2Lはトライ要素も多かったので利益度外視です。その分、事前ご予約済みのお客さまにはお待ちいただきました。万一不具合が出場合の代替機も準備しています。お使い頂ける限り整備させて頂き、買取&下取りも履歴が分かっていますので通常のML2Lより遥かに高い価値を出します!

一袋に20~30個入っています(交換部、交換パーツ、交換日記載)。

レストア前と比べてどうか?

レストア前のML-2Lが、レストア後Ml-2Lより、良いと感じられる部分(記憶)は残念ながら何一つありません。久しぶりに昂ぶったパワーアンプ。音が出た瞬間から明確にちがいがでます。英語がわかる方なら発音の聞き取りが楽!ドラムスを演ってた方なら細かいセットアップまで伝わる感覚。マスタリングのマジックもわかるかもしれません。1970年代のジョン・カールが設計したパワーアンプは、良いアンプの定理、「低電圧で大電流を流す」のギリギリまで攻め込んだ設計は、ユニット制御力から生まれる緻密なしなやかさと実存感ある音像に血が通うまで詰めたアンプ。

S/N比 102.5 dB 歪率0.0968% 実行出力: class A 38W(8Ω負荷時)、消費電力:400W(1ch当り)


ML-2L(トロイダル型)も上記と同様のレストアを行い、調整および計測も終了しました。現在エージング段階となりました。ちなみに全ての基幹パーツを交換した場合、EIコア型との音質差は極めて少ないものです。

2016年9月23日現在
ML-2L(トロイダル型)も順調にエージング中。1日当たり6時間。クラシックやボーカル、JAZZなどをバランス良く駆動させています。エージング中は様々な音楽ソースをかける事が基本です。最初が肝心は子どもと一緒なんでしょうか。。


レストアが可能な法人様はお力をお貸しください!70,80年代の設計者達がつくりあげた多数のハイエンド機器を10年、20年先でも鳴らせる様、どうぞよろしくお願いいたします。

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