PHLIPS&STUDER CDS 1980,90年代の音楽プレーヤー!

PHLIPS&STUDER CDSグループの

プロ業務用デジタル・ディスクプレーヤー


PHLIPSとSTUDERが起した会社がCDSグループです。

STUDER CDプレーヤーの右上に印字されています。

CDSはプロ用・業務用コンパクト・ディスクプレイヤーを生み出してきた会社で、

LHH2000以外の製造はたしかSTUDER社が一任。メイン部品供給はオランダPHLIPS社。

STUDER&PHLIPS 業務用CDプレーヤー【整備前・調整機など】

STUDER&PHLIPS 業務用CDプレーヤー【整備前・調整機など】

STUDER D731という選択。

上の写真は1月から2月にかけて調整・整備&チューニングするSTUDERのプロ用CDプレイヤーの一部。
他に4台ございます。各CDプレーヤーの内部状況以外にも音を確認して整備に活かす事は重要です。レストア整備をする場合は、使用用途やお客さまのサウンドの好みもお伺いします。あまり左右されませんが機械以外の情報も重要です。4台は複数台STUDER機をご使用の方など一般の方の個体です。他はエンジニアの方やスタジオ様の個体となります。

中古ハイエンドプロ用 STUDER D731 業務用CDプレーヤー

中古 STUDER D731 業務用CDプレーヤー

先日、ようやく入荷・整備したSTUDER D731を聴きに来られたお客さまが、JBL HartsfieldとJBL DD55000で聴かれD731をご購入されました。アトリエやリビングに複数システムをセットされてる内の1システムのデジタルプレーヤーとしてご使用されるそうです。

お客さまは画家の方で当社WEBサイトのD731が掲載されているページをプリントアウトされ、D731の前面ボタンを忠実にスケッチされ、操作方法をご質問されました。そのペン画のタッチが綺麗で思わず感動です!

STUDER D731とA730の試聴

STUDER D731とA730の試聴

その後、調整中のレストア&クロックUPしたSTUDER A730を聴かれました。正直、あのA730を聴かれるとD731は購入されないだろうと思いながら同じソースをかけました。お客様の言葉は『世界がちがう….』でした。D731も純正パーツで整備を行った個体。

音楽にとってアンサンブルや音楽全体の”ながれ”や余韻を重要視されている事はこれまでの会話やWILSON AUDIO SYSTEMシリーズを鳴らされていたことから、A730で何を表現したいかは伝わるのではと想像していました。

たしかにSTUDER A730がFM ACOUSTICSプリへ送った音楽信号は凄まじい信号だったろうと思います。ご持参された、チェロとピアノデュオ盤は旧カフェに設置しているVITAVOX CN191と同じ延長線で鳴るDD55000には驚き!JAZZにいたっては独壇場なので無言・・・

お客様はうれしそうにプリントアウトされたD731を模写した紙を手に 『これも縁だから』と、ご予定通りD731をご購入されました。この方がいつかA730 OH版などを購入される時は、STUDER D731はご購入額で買い取ります。D731を最高のプレーヤーにして欲しいというオーダーを頂けば、可能な限り仕上げます。

STUDER D731

STUDER A730

LHH2000とD730MK2のフルレストア整備&プラスα

お客さまが帰られて、LHH2000とD730MK2のフルレストア&プラスαの件をじっくり考えました。両機とも現在のサウンド、実力を聴き込みました。

D730MK2はCDS STUDER機の中でもレンジの広さがあります。スタジオ稼働率も高いモデル。ただ、A730あたりと比べるとミッドローの表現があっさりする印象があるかもしれません。逆に通常のA730のハイは曖昧に聴こえるかもしれません。ですので、この辺りのバランスをどうするかが鍵。IC化が一段と進んだD730では、ベーシックなレストアを経れば、過度に特性が良い斬れ込むオペアンプをダブル化した場合、音像やサウンドステージは聴きちがえる様になるはず。音楽の土台をしっかりさせ、STUDER A80のような密度感をどう出すか・・・

熱対策はA730ほどシビアではないので、熱くなってもいい部品を選択する余地が若干ですがあります。・・・パーツの選択がかなり重要です。僅かにCDM4のマウントにガタがあるので分解OHしてその辺りも見ていく必要があります。
現状では、出力基板のコンデンサー類やメイン基板のコンデンサーは25年前のままですので全交換します。CDS STUDER純正パーツの在庫は豊富にありますが、D730MK2のオーダー内容では使用しません。オーディオグレードやMIL規格、航空・医療グレードの欧州パーツ主体で純正とは別格のサウンドへ引き上げます。

 

PHLIPS LHH2000

phlips lhh2000
PHLIPS LHH2000です。これをガンガンに手を入れてリファレンスにしようと考え、価格をASKにして、整備しないと売りません!なんてしてましたが、サイト掲載2日で販売済となりました。。。ありがたい事ですが予想外です。LHH2000販売額は75万円で、オーバーホール費用を入れると100万円は軽く超えます。

まずLHH2000のサウンドですが、この個体だけで判断する事はできません。なにせ30年前の製品です。動いているだけ凄いという状態でしょう。新品から数年経ると音は変化します。10年、20年、30年も経ると「変質」してしまいます。「音楽」を聴かれる方なら我慢できない音に変質しています。

このLHH2000はスタジオ・オーナー様のコレクション品で、現場での使用歴はありませんので筐体は綺麗ですが、極端に言えばそれに意味はありません。意味があるとすれば所有された方がどれだけ大切にされたかの目安です。CDプレーヤーの重要なドライブメカ・レーザーダイオード単体での出力や左右出力バランスや波形、各基板の状態、電源部などの状況はバラして計測しないとわかりません。音を出す製品は、音がすべて!です(もちろんデザインが秀でている事はそうあって然るべき)。

これからフルレストア整備をするPHLIPS LHH2000

これからフルレストア整備をするPHLIPS LHH2000

LHH2000のサウンド。入荷時に聴いた印象通り、システムが変わってもミッドローがこってりしています。厚いサウンド。現代では貴重な14BITのDACです。ちなみにこの数値を単純に上げればいいっていうわけではありません。変換前のレーザーダイオードの状態やドライブメカの基板増幅部、DA変換後のアナログ増幅部分の力量がサウンド全体の表現に大きく作用します。スペックはごく一部のパートでしかありません。十数年前のハイスペックなデバイスを搭載したハイエンドCDプレーヤーで現在でも残っている機種は極僅か。時代はハイレゾなどファイルプレーヤーへ移行しているという理由もあります。元々コンテンツ制作から配信システム開発やUI開発、インフラ構築をしていたため、コンシューマ向けのこの分野には興味がありません。。

さて、LHH2000、冷静に聴いていくと、ハイが曇りぎみな重高音です。でも、不思議な事にパースペクティブがとても良く、遠近感が立体的で実体感もある。主題と輻奏、演奏の陰影感もつくので引き込まれる魅力があります。音ではなく、音楽表現の緩急、リズム、ハーモニーをここまで巧く表現するプレイヤーはそうありません。

音楽のノリとオーディオのセンス

音楽にとってリズム&ビートは重要です。リズムの頭や後ろ、タイム感を微妙にズラす事で独特なノリを生み出す音楽がありますが、同じ曲をプロが演奏してもグルーヴ感が出ない事が多々あります。スコアには書いてありません。これは聴いていると、リズムのどこでとっているはわかりますが、いざ演奏すると出来ないんですね。。体に染みこんだタイムがあるため、プロの演奏家でも出来ていない事が多々あります。
出来ないとどうなるか?この手の音楽はリズムで前進力やウネリが出ますが、それが出ずに生真面目に曲が進行するだけです。前進力と、楽譜の進行では、音楽における意味がまったく違います。このちがいを感じる人には苦痛なんですねぇ。

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同じ様な事はオーディオ機器や録音機材~マスタリング機器にもあてはまります。
設計者が特性や数値を正確にしても詰まらないサウンドになる事があり、、、しかし正しいので音楽が正しいか(楽しいか)は別!!

そういう製品はハイエンドであっても市場の中で修理されずに静かに廃棄されていきます。最終的には音楽力がある設計陣と良い部品&組み合わせの製品しか残っていきません。さらに数十年前の製品の表も裏も万全にする事はむつかしい仕事でもあります。

Audio Dripperでやっているオーバーホール整備で使用する計測機器は、世界基準に近いものでこれら計測機も整備して万全の精度を保っています。が、これらの波形や数値が正しくても、詰まらない音にする事も出来ます。部品の選択や組み合わせで、いか様にも変化します。最後はやはり人の技術と感性が左右してきます。劣化したオリジナル部品は数値でもあらわれ、音楽表現にもあらわれます。あるレベルから深く要求するとオーディオでもクルマでもどんな機械も正直です。

PHLIPSLHH2000やSTUDER CDSが隆盛を誇った時代は人材が豊富で、設計者やディレクターの中にも演奏する人も多数いたか、耳が肥えた人が多数いたのだろうと思います。欧州・ロシアではコンサート料金がひじょうに安く、当時も今も毎晩どこかしらで演奏家の音楽やLIVEが気軽に聴ける背景があります。おそらく満員電車には乗らずにすんだかもしれません。

とりとめないblogとなりましたが、LHH2000はドライブメカのオーバーホールと基板コンデンサー、出力基板、電源部&レギュレーター周りの新品交換、オペアンプの交換で相当に化ける気がします。ハイの曇り具合もオリジナルのテイストを残してハーモニックな音が曇らないようまとめる予定です。LHH2000は4月ぐらいから整備にとりかかる日程…….。D730MK2も同様ですが、こちらは高精度クロックを搭載します。基板を新規製作して別トランスで動かします。

業務用スチューダー Stder A730 &、Parallel Stand(仕様変更します) スタジオコンソール仕様で、放熱に優れます。

STUDER A730

膨大な音楽アーカイブを最高の状態で聴ける様、CDプレーヤーに限らず、未来へのこすべくオーディオを取り扱っていきたいと思います。特に初期のCDプレーヤーは古いメカ&基板ですので再調整と言う事も高い頻度でありますがご了承ください。新品は信頼がおけるショップ様もご紹介します!!もちろんAudio Dripper TOKYOでも特別にお手配も可能です。