STUDER A730 Restore

STUDER A730 Restore整備

STUDER A730 中古整備、修理

個人売買によるSTUDER A730の整備

STUDER A730のレストア整備記録です。こちらのA730は某オークションでご購入されたもので、メンテナンス済みで価格も相当したそうです。外観は綺麗ですが実際の中身は……..厳しいもので、入手後、しばらくして動作不良が起こり、今回レストアのご依頼を頂きました。こういったご依頼が多くなっています。。大抵は一部分の修理のみのご依頼。一部分だけ修理したところで、本来のサウンドには程遠く、また壊れます。これの繰り返しなのでAudio Dripperではオーバーホール整備しか受け付けません。入手される方は過去の整備履歴についてご注意されるか、整備前提のベースとして入手されると良いと思います。

ヤフオクは宣伝のため1か月に1回は出品しようと心がけていますが(笑)、通常業務が忙しくなかなか出品できません。ただAudio Dripper TOKYOで出品する際は動作保証6か月付けます!商品によっては1年。

さて、Audio Dripperではこの2年間程で約80台(もっとかな..)のSTUDER A730を診てきました。外観の良し悪しは置いといて、感じるのことは基板状況が悪い個体が多いという事。コストのせいなのかサウンドに関わる肝心な劣化パーツが変更されていない事(EMT機も同様)。30年前のデジタルプレーヤーに多くは期待できないのですが、正しく甦らせると現代のオーディオシステム中でも通用するサウンドを聴かせてくれるSTUDER A730。エンジニアの方をはじめファンが多いのは、再生した時のサウンドの耳触りの良さや音楽解釈の洗練度などなど…さらに高ゲインに振った時のエネルギー度など、、、時を経ても魅力があるデジタルプレーヤーの1台。

この個体、リピーター様のSTUDER A730でもありますので、パーフェクトな状況まで整備します!

STUDER A730の状況

外装周りではトレイ・ロック・スイッチの不良がありました。この部分は3Dプリンターで再生するか、ストック品からチョイスするかです。今回はストック品から移植しました。また各操作ボタンの色の違いは不思議ですね。以前に交換されたのかもしれません。

STUDER A730 トレイ部分ロックスイッチの不良

STUDER A730 トレイ部分ロックスイッチの不良

下の写真はメイン基板ですが電子パーツの交換履歴はほぼありません。電源部コンデンサーは交換されいます。しかし基板劣化なのか、IC不具合があるのか別配線による修理があります。さらに、電池部分には液漏れもありました。

STUDER A730 メイン基板の状況

STUDER A730 メイン基板の状況

メイン基板の表面で交換されていた電子パーツはごく僅かなのにワイヤーによる別配線が多数あります。この個体の場合、上記表面基板だけでも60個は交換します。現状では本来のSTUDER A730のサウンドは難しいかもしれません。出力段のカップリング・コンデンサーも約30年経ています。オリジナルパーツが良い場合はこのままです。ここはSTUDER社純正パーツにリフレッシュする事も可能ですし、同系統でさらに踏み込んだグレードのパーツ等多々あります。今回は通常レストアですのでSTUDER社のパーツとなります。

裏面は下の写真のような配線がされていました。おそらく電池液漏れによる3層部分がNGとなった可能性があります。前の修理者は分厚い回路図を読み解きながら慎重に修理したと思います。現在NGのIC部分パソコンへダウンロードし新たに製作する予定です。

現段階ではトランス唸りも発生しているため、何処まで新品時の性能まで戻せるかはまだ未知数・・・

STUDER A730 メイン基板の裏面修理跡

STUDER A730 メイン基板の裏面修理跡

下記は操作基板の整備前写真ですが、サーボ基板の状況からドライブメカ段階の調整は厳密に行えるシリアルです。

スチューダー CDプレーヤー修理

いつも似ていますが(笑)、この個体の操作パネル整備

今回、お客様から詳細を知らせて欲しいというリクエストも頂きましたので、ざっと記載します。


・トレイ部スイッチ不具合の整備
・PHILIPS CDM3ドライブメカ出力値計測~完全分解OH~調整(RF,Iパターン、正弦波、S/N,歪率)
・電源部三端子レギュレーターの交換、電解コンデンサーの交換、トランス状況のチェック
・メイン基板の修復、メイン基板ICの修復、ダイオードの交換、オペアンプの全交換
・サーボ基板の劣化部品交換、メイン基板との信号チェック(配線周り)
・出力基板の整備、左右CHオペアンプの全交換、カップリングコンデンサーの交換
・操作基板の整備
・アーシングのやり直し
・熱対策(必要があれば)
・シャーシ内部の精密洗浄
・ST端子交換


個体特有の修理部の整備、各部のオーバーホール、約90~110個の劣化電子部品や今後劣化するだろう箇所の見込整備となります。


2017.9.5 STUDER A730 トランス唸り解消!

トランスの唸りが解消しました。トランスから18V±を受ける、整流ブリッジダイオードの3本脚内、1本がメイン基板から浮いていた事が原因でした。現在安定的に電源を供給できています。別配線はやはり3層基板の中がやられていたための修理でした。