WADIA 2000 Ver.UP 96の
オーバーホール整備
1990年代初頭、ハイエンドオーディオ領域に
『デコーディング・コンピュータ』として、
コンピュータをうたい登場したWADIA。
デジタルオーディオの元祖!
WADIA 2000 Ver.UP 96 DAコンバーターのオーバーホールのご依頼。本体、電源部、デジリンク30本体、電源の構成となります。オーディオ機器におけるデジタル系は変換精度やアップサンプリング、フィルター、クロックなどいろいろとあります。WADIAは登場当時『デコーディングコンピューター』と名乗ってましたね。大きな電源部が特徴でした。
10年ぐらい前になりますが、音楽ファイル専用のPCオーディオを製作した時は電源部やマザーボードはもちろんの事、PC本体に入れるアプリケーションを極力少なくする事で音が良くなった事を思い出しました。
上の写真の黒いマシンは10年前に僕が自作した音楽専用のPCで、CD/DVDドライブやハードディスク(今ならSSDかな)電源、マザーボード、オーディオボードが入っています。音楽ファイル専用なのでレジストリを汚す各種ソフトはインストールしていません。
自作マシンなのでCPUの選択、装着、交換や整備、再生ソフトウェアは自分でカスタマイズします。当時の音楽専用機より遙かに音が良くユーザビリティ&拡張性優れてました^^ この頃からOSはLINUXが台頭してました。筐体はBMWアメリカデザインオフィスがデザインしたものです。
当時のCPUはIntel Core 7だと発熱が多くなるので5とかにしてたと思います。メモリだけはたくさん積むようにしてた記憶。下のエキマニのようなのがCPUを冷やすファンからのパイプです。
ちなみにスピーカーはマルチアンプで、下のようなデジタルデバイダー等で6chのDクラスアンプを制御してました。ユニットのタイムアライメントは㎜単位で調整でき、クロス周波数やスロープ特性もいろいろ変更できました。こうしたソフトウェアはたくさんあり、とてもシンプルです。
パソコンはプラモデルのようなものなので、カスタマイズや製作はオーディオの整備に比べるととても簡単です。
メモリやCPU、電源、ファン、オーディオボードなどいずれもカンタンに拡張やグレードUPが可能。下の写真のがらんどうになった部分がメイン基板部、右上がリッピングするドライブメカ部、右下の6スロットがハードディスク格納部でSSDも入れられます。ちなみに左上が電源。
音楽ファイルしか扱わないので、なるべくシンプルに組み上げます。当時の考え方として超高速なCPUを使わない仕様でした。ファンなども極力減らし、制御系ソフトも減らします。
上記のマシンと当時の音が良いと言われていたappleのマシンとでは比べようのないほど音が良かったです^^最近は興味が失せてしまい、アナログ?なCDプレーヤーなわけですね^^
WADIA 2000 Ver.UP DAコンバーター
WADIA DACはPCボードとは比べようがないほど高品質です。当然この時代のDACに使用されているパーツも贅沢でした。チューブラ系のコンデンサもしっかりしたものでした。
WADIA 2000 Ver.UP DAコンバーターのオーバーホール整備作業
アナログ基板はハイエンドプリアンプに使用される独WIAMA製フィルムコンデンサへ交換。
よくハイエンドプリアンプやパワーアンプに使用される、WIMA MKP 10ポリプロピレンメタライズドコンデンサです。
WIMAシリーズ MKP10は、非メタライズド誘電体フィルムと電極として作用する両面にメタライズドさせたキャリアフィルムからなります。両面のメタライゼーションのおかげで、電気伝導性が大幅に改善され、電極と金属コンタクトレイヤとのコンタクト面が2倍になります。これにより、より良好なコンタクトが得られ、高電流およびパルス負荷能力への対応が可能になります。メタライズドコンデンサの優れた自己回復および大容量静電容量の特性には変わりはありません(抜粋)。コンデンサー テストサイト例⇒
電気伝導性upとコンタクト面積拡大、耐久性、この3点が特徴です。オーディオ機器に使用した場合、音質的にはどうなるか?艶やかでしなやか荒れやキツさがなくなる傾向があります。EROなども使われる理由がありますね。マニアになってくると生産年度によっても試聴をされています^^;
下記はDAコンバーター電源ユニット基板の一部です!とても贅沢です。
電源部が2階建てで余裕のあるスペースに贅沢に作られています。どなたかもWADIA2000のシステムを詳細に解説・レビューされていましたが、WADIAの技術者達はマジもんのコンピュータ技術集団でした。彼らのテーマはD/A変換した後のアナログ信号処理でダイナミックな出力の質を損なうことなく電圧変換を行うために、パワーアンプを開発するようなスタイルで、WADIA独自なディスクリート回路を開発(スレッジハンマバッファ回路)。下手なプリアンプ以上の性能を誇ってました。
余談ですが当時はトレイ式が採用され一部の製品にプラスティック部品が使われ、それが加水分解するパーツだったため、現代では壊れてしまっているケースも多々あります。初期のPHILIPS CDMシリーズなどでトップロータイプだったらもっと長持ちしたかもしれません。
今回はオーバーホール済みのデジリンク30(DDコンバータ)も購入頂きました^^ありがとうございます。
たしか初期WADIA2000、WT2000Sもご購入頂いたはずなので聴き比べてみてください。同じ名前のDACですがおそらく個性が相当にちがうはずです。