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Mark Levinson No.20.6L フルレストア整備 No.3

Mark Levinson No.20.6L フルレストア整備 No.3

フルレストア中のMark levinson No.20.6L

マークレビンソン No.20.6Lのフルレストア録の3回目。

到着した一部新品パーツとドライバー基板状態&整備。

フルレストアははマークレビンソン No.20.6Lのボード類の状態から確認します。下記は左右のボードの一部です。残念ながら過去の修理状況が分かります。どなたが見ても違いがわかると思います。。。

※作業中の写真はスマホで撮影しています。

左右で異なり、かつ容量が不足しているパーツ。航空計器や電子部品測定器を整備していた技術担当からビッシバシと赤が入っています。大手オーディオメーカーにも勤務し技術部長をしていた経歴。来年からレストレーションを専門にしたセクションを担当してもらうよう依頼しています。

詳細は省きますが、修理による部品の左右差やパーツの容量不足・オーバーがありました。S/Nや歪率の個体差はこの辺りや、トランジスタの左右差(修理による生産年代やメーカーちがい)がありました。過去に行ったハイエンド・パワーアンプで左右差のない整備が行われていた個体は皆無!です。クルマの世界と同じで修理とレストアはまったく別の仕事です。レストアにはコストがかかりますので致し方ありません。

到着した一部の部品ですが、トランジスタは100個近く同一生産ロットを輸入(Motorola生産ライン製造TR)。今後どこまで増えるかわかりませんが、No.20.6Lマニュアルに準じた純正使用に準じた部品。一部グレードを上げた部品も出てきます。ボードで劣化した電解コンデンサー26個。配線ミスやハンダクラッシュ、未ハンダ部分などもありました。

今回使用するコンデンサーで入手困難なのが、例えばWIMA_MKP10_0.1µF250V 10個(ドイツから輸入したMark levinsonオリジナルと同一のフイルムコンデンサー)です。モトローラ製のTRは89年から91年のものや修理時に一部交換されたオン・セミコンダクター製TRです。これらを全て同一ロットでマッチングを図り搭載していきます。裸状態での動作出力をとり、実装し動作負荷シミュレーションを行いバランスを取ります。まだまだ先です。まずはプリアンプから入った微弱信号を扱うドライバーボード類のフルレストアから。

マークレビンドンNo.20.6Lのドライバー基板オーバーホール

2連ドライバー基板です。過去の修理履歴がどのようなものであったか把握します。

ドライバー基板の役割はパワーアンプの頭脳と言ってもいい部分です。パワーアンプに入力された音楽信号を増幅したり調整をするボードです。コントロールアンプから入力される信号電圧はとても微弱で約0.01Vからフルで2~4V程ですので、このボードで信号増幅と調整をしてからパワー・トランジスターへ送ります。

2連ドライバー基板を分解中。2枚のボードは、下のピンで繋がります。が……………..

製品出荷時にはハンダされていた部分が未ハンダ状態

 

2連ボードの連結部分がフリーで未ハンダ状態でした。ここ留める事で輸送事故などを防ぎ強度も充分出た状態となりました。オーディオボード類のオーバーホールでもっと、もっと正確な信号をトランジスタに送れる様になります。

写真が汚いですが、回路設計状 82µFが121µF へ劣化。

 

赤い四角コンデンサーがドイツ製のWIMAです。音楽信号が通りますのでとても重要な部品。こちらも新品へ交換。

ドライバー段交換部品の一部

13枚の雲母はシリコングリスの約7倍の放熱効率があるシリコンシートへ交換しました。

No.20.6Lのボード整備の重要ポイント!

ここが重要ですが、No.20.6Lのオーディオボードは2連基板ですので、高さ誤差を0.1mm以内にしてから連結ピンをハンダ付します。1㎜では甘く、ましてや未ハンダであった事は論外。現状、致命的な基板劣化がなかったので安心です。固有とも言われるパターンクラックはこの連結部分の精度出しが出来ていないため、パターンの断線やハンダクラックが出てきたと推測します。もしかしたら製造段階でどこまで精度出しが行われていたかは分かりませんが、今回は0.1mmの誤差もない状態としました。

すべての容量やパーツ誤差、取付ミスを整備したオーディオボード類

オーバーホールした2連ドライバー段です。頭脳・神経系の左右誤差はありません。ですが、まだ回路図通りになったというだけで、まだまだこれからです!ML-2Lと比較しても相当パーツ交換数が増えていくと思われます。整備前でもあれだけ力強いサウンドだったので、おそらくこのNo.20.6Lはかなり良い1セットに生まれ変わるはず。現在の上代500万円位(当時のN0.20.6Lの現在比ですが,,,)のアンプと同程度を目指します。

レビンソン等のヴィンテージ・ハイエンドをレストアする場合、当時のオリジナル・デッドストックじゃないと駄目!という方がいますが、TRのマッチングでもダミー負荷を設定して、仮想動作シミュレーションができる様、実機に計測機用配線をして全トランジスタの電圧を同時に計測し、整備マニュアル通りの数値を出し、さらにマニュアルにない数値を予測しなければなりません……..その上でマッチングがとれ規定値がクリアできるデッドストック(計測表通りの部品)があれば、私達が購入します。おもちゃの様な計測機はNGです(笑) せめて、前回ページの様な計測機器(万全な整備済機)等です。


2セット目のML-2Lもお客様の受け入れ体制、ご自宅が整ったようですので、ようやく納品です。エージングが進みレストア終了後より明らかにフォーカスが合ってきています。スピーカー間を6m程空けたヴィンテージ・ホーンスピーカーでは、床から天井まで空気が音楽にかわっているよう。ヴィンテージ・ハイエンドスピーカーでは一層緻密なフォーカスになっているかと思います。


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