PHLIPS LHH2000 フルレストア録
1980年代の業務用デジタルプレーヤーPHLIPS LHH2000のレストアも佳境に入りました。現在Mark Levinson No.20.6Lのフルレストアと相まって輸入パーツの山となってます…………..
PHLIPS LHH2000のレストア整備
レストア作業にあたって、僕もLHH2000を相当時間聴き込みました。入荷当初ではわからなかった魅力も今ならわかった気がします。他のプレーヤとの音造りのちがいを含めて音楽力の高さは深いものがあります。お客様からお借りしたCDを技術担当にも聴き込んでもらい、LHH2000の特質(他製品との差異)やお客様がご使用のシステムなどの傾向からパーツの選定をしました。STUDER製とは本質的にサウンド・コンセプトがちがいます。一言で表現すると、より音楽が鳴る空間のエア感を引き出すのがLHH2000。これは個体差ではないでしょうね。
STUDER CDS グループのCDプレーヤーはA725,A727を除いて全機の初期・中期・最終版の一般中古品から通常修理品、レストア品、UPグレードバージョン等あらゆるタイプを聴きました。STUDER CDSグループの担当以外では世界で一番聴いてるはずです。その個体数は整備ご依頼品を含めて年間50台以上でしょうか。
今回はオランダPHLIPS社製の現行パーツも相当使用しました。他にはドイツ製のパーツ等ヨーロッパのパーツで組み上げる感じです。またオペアンプのグレードの違いを如実に引き出す事にも驚きです。
PHLIPS LHH2000の内部ですが、トランスの大きさが目を引きますね。5枚のボードで構成されます。特に驚くのが出力関連ボードの充実ぶり!
明る目にしましたがドライブメカのCDM1&制御基板です。これまでの動作時に若干ですが擦っている部分があったのですが調整でなんとか収まりました。サーボ基板にはPHLIPS社製のオペアンプが装着されています。30年経過しますので交換しました。
レンズはドイツ・ガラス製でレーザーダイオード出力も充分で組上精度と調整で充分まだいけそうです。念のためドイツから『CDM0ドライブメカ』を確保しました。CDM1もストックが2台あります。
基板のハンダ劣化がかなりあったためパーツハンダ部を活かし再ハンダしていますのでハンダによる音質的な影響は極めて低い手法です。写真の作業部分だけでも100か所はあるかと思います。
LHH2000の音質を相当決めていると思われる電源回路部のコンデンサーですが規定値4700μFが5497μFと劣化。2本とも新品へ変更。この部分は音質にも影響が出ます。
他のコンデンサーもだいたい似たような状況でしたが、意外と劣化が少ないと言えます。
PHLIPS LHH2000の発熱
PHLIPS LHH2000は純正状態でもかなり発熱をするため、皆さんいろいろ苦労されてるようですが、ある回路を適正化してあげるとある程度の発熱は収まる事がわかりました!ほぼ半分程度まで落ちたかもしれません。もちろん音質的な影響はありません。
ただ今回はオリジナル・スタンドを製作し、底面から上部へと対流させてあげる仕様にします。ファンはDC5V・20dB程の超静音仕様とし、100Vの一般電源から別にとることにします。使用は夏場だけで良いはずです。
2017.5.12
PHLIPS LHH2000コントロール部のオーバーホール作業。写真はスマホのため汚いですが、実物はほぼ新品のようなテイストです。
外装の精密洗浄と磨き、内部基板劣化パーツの交換です。コントロール部の不具合から動作できなくなる個体もありますので、レストアします。