STUDER D731のオーバーホール整備
新品ピックアップ交換&樹脂パーツ補強整備
STUDER D731 CD Playerのオーバーホール整備
スチューダーD731はA730の次に販売されたD730のデッキバージョンです。
中身はほぼ同じで、筐体のサイズから、基板などが若干余裕がある取り回しとなります。
しかし、デッキトレイタイプの宿命でベルトやトレイを構成するプラスティックパーツが
非常に弱い個体が多々あります。これはD731に限らずです。
例えばD730やD730MK2のトレイ部も宅配便などで破損する事故がかなりあります。
だいたいはドライブメカ固定して発送するために起こるのですが、
加水分解が進んだトレイをヘキサゴンネジで留めるわけですから、簡単に破損してしまいます。
下記の写真が発送時に留めるネジ穴ですがここから破損が起こりトレイが割れます。
割れると読み込めません。
下の写真は今回整備したSTUDER D731で、このプラスティックトレイが輸送時に破損しやすい部分です。
今回のD731オーバーホールはピックアップを新品にするリクエストを頂きましたので新品へ交換。
最近ではアジアでも製造され国内でもよく販売されていますが、オリジナルの新品を使用します。
これまでのものは同梱してお返し。ベースはアルミダイカスト製のPHILIPS CD4Mです。
樹脂補強液体で壊れやすい部分を補強していきます。
下の写真はアナログ出力部分ですがオリジナルと国産が混じった状態になってましたので、
STUDER社純正コンデンサへ再交換。
国産コンデンサは極性がバラバラになってましたので、新品STUDERコンデンサは極性を揃えて交換。
オペアンプも交換しました。
メモリ電池が単なるコンデンサ(下写真:スーパーキャパシタ)に交換されていたので、
純正通り液漏れしない電池へ交換しました。
動作テストの際にどうしてもCD盤の傷が出てしまいます。その原因が下記の社外デジタルフィルター。
1kHzの歪率は人の耳では感知できないレベルで、優秀な結果です(左右チャンネル同時測定)。
上の写真は1kHzの正弦波波形です。
中古スチューダー CDプレーヤーの現状・・・
STUDER社のCDプレーヤーの最終期のD731もそろそろICなどが壊れたりしてきていますので、
購入される方は過去の整備履歴がわかるもの、交換済部品が揃っている個体などを選んでください。
最近では電子パーツの消耗以外にICなどが壊れるという事も頻繁に起きています。
弱った個体は特にデジタル系のICやチップがNGになるケースが増えている感じがします・・・
オーバーホール整備をお断りしている台数もかなりあります。
その一番多いのがヤフオクで購入して壊れてしまった・・・というお問い合わせですが、
これまでオーバーホール整備でほぼ大丈夫だったCDプレーヤーが、
修復不可な状況に陥る個体が多くなってきています。
スチューダーのデッキタイプのCDプレーヤーで安いものは20万円ぐらいから入手できます。
素性のしっかりしたものは40万円程からでしょうか。
過去にどういう整備がされてきたかの履歴が明快なものは当然高いです。リセールも効きます。
30年以上経つと2回ぐらいは修理をしているはずで、
まったくやってないものや中途半端な修理だけの個体は、
100個以上の消耗コンデンサや不安定な電源部などかなり怪しい状態になっています。
・・・そもそも30年前のパソコンは現在どうなっているでしょうか?
CDプレーヤーの半分はデジタル/アナログ変換するコンピューターみたいなものです。
もう半分は出力系のアナログ増幅器(フォノイコライザのような)みたいな部分があります。
整備する箇所は多数あります。著名なスタジオのプレイバック機はかなりの頻度で整備します。
また、同時期頃のEMT981や982はスチューダー機(A727など)とコンポーネントが似てますが、
コストダウンされた部品が多数使用されていますのでさらにご注意ください。
特に電源部は弱いのでご注意ください。・・・カッコはイイのですが。。。