整備後のお客様レビュー|cello R-DACのオーバーホール整備

cello R-DACのレストア整備

ヴィンテージD/Aコンバーターの中でも一際異才を放つモデルが

チェロのリファレンスシリーズのR-DACでしょうか。

2020年6月 お客様からご納品後のレビューを頂きました。

cello R-DAC|オーバーホール整備版

cello R-DAC|レストア整備版

2020年6月 cello R-DAC レストア版のユーザー様レビュー

今年5月にcello Reference DAC(R-DAC)をレストアさせて頂いたお客様からの

レビューをご紹介させていただきます。


私のシステムはプリアンプがVIORA カデンツァ 、パワー VIORA フォルテ、

スピーカーがクレモナMで主にクラシック ジャズを聴いています。

フルレストアされた cello R-DACは音楽の熱量がしっかり伝わり

分厚い音で部屋が満たされSP存在が消えます。

実は以前に別ルートで入手したR-DACを短期間使ったことがありましたが

貴社から購入したオーバーホールしたSTUDER D730マークⅡ単体との比較で

それ程良さを感じなかったため、売却しました。

今回貴社で再度cello R-DACを購入。迷わずフルレストアを選択したのは正解でした。

今後も益々の音の変化を楽しみにして行くつもりです。

コロナが未だ完全収束しておりません。くれぐれもご自愛ください。


同じ製品でも個体によって、その音は全く異なります。

整備方法によっても、整備する際に使用するパーツによっても異なってきます。

レストアやオーバーホール整備する際に言われる事で多いのは

『パーツを替えると音が変わってしまいますよね』です。

本来、10年以上経た電子パーツは製品が発売された当初の性能を維持していません。

仮に1000μF溜まるコンデンサが500μFもしくは100μFしか容量がない個体もあります。

大きな音楽信号が入ってきた時に瞬間的ドンと出せなくなります。

こうなると音が丸まり聴きやすいと誤解します。さらに音像もボケてきます。

しかしながく聴いているご本人は気がつきません。

電子パーツの劣化は徐々に進むからです。

劣化しないパーツもありますが、どんなオーディオ機器にも必ず

劣化するパーツが使われています。例外はありません。

ファミリーカーや乗用車はメンテフリー化されていますが、

乗って面白い高性能なクルマがメンテフリーではありません^^

STUDER D730のドライブメカPHILIPS CDM4 分解整備中

STUDER D730MK2のドライブメカPHILIPS CDM4 分解整備中

こちらのお客様のようにレストア整備したSTUDER D730MK2と比較した時に

中古で購入したR-DACを接続してもその良さが出ない事もあります。

今回のR-DACは過去に整備されたはずの電子パーツの劣化も進んでいましたので、

60以上のパーツを交換しました。特に電源まわりのパーツが約半数です。

これでエネルギッシュなR-DACらしいベースができます。

出力基板が左右独立のA級ディスクリート回路なら電源部が重要となります。

さらに出力基板P301を調整しメインPCBの劣化パーツやICなども交換していきます。

今回のcello R-DAC はさらにP301基板の 調整を行うことで、

とても楽しいサウンドが鳴るR-DACとなりました。

チェロ,プリアンプ,アンコール.スイート,パレット,中古 cello R-DAC D/Aコンバーター

cello R-DAC D/Aコンバーター

 


cello R-DAC 3台の同時比較視聴

過去に何度と書いていると思うので省きますが^^、A級動作のアナログ回路。

これまでも何回かcello R-DAC Referenceのレビューを書いたと思います。

以前に同時にcello R-DAC を3台の比較視聴をした時がありました。

cello R-DAC Reference(写真撮影時のみスタッグ)

cello R-DAC Reference(写真撮影時のみスタッグ)

この時、デジタル機器でもサウンドがまったく異なる事が明確にわかりました。

一緒に視聴されていたお客様もすぐにわかったようです。

1台はオーバーホールした個体、1台は修理した個体、1台は何もしていない個体。

当然オーバーホールしていた個体が断トツに良く、何もしていない個体はパッとしないサウンドでした。

今回わかった事は「ゲイン」の調整・・・

最適なゲインがあることがわかりました。コレにするととても溌溂にエネルギッシュな

cello R-DACへ変身します!やり方はちがいますが、cello AUDIO PALETTEなどにも当てはまります。

今回は上記を踏まえオーバーホールより踏み込んだcello R-DACとなりました。

 

cello R-DAC メイン基板整備

過去の整備で交換された消耗部品がすべて国産メーカーになっていましたので、

これをVishayやSPRAGUE等へ交換。レギュレーター類なども交換。

cello R-DAC |整備前の基盤

cello R-DAC |整備前の基板

cello R-DAC |整備前の基盤

cello R-DAC |整備前の基板

cello R-DAC |整備後の基盤

cello R-DAC |整備後の基板

cello R-DAC |整備前の基盤

cello R-DAC |整備前の電源部基板

cello R-DAC |整備前の基盤

cello R-DAC |2階になる出力基板などを外した整備中のメイン基板

cello R-DAC |調整中

cello R-DAC |調整中

Mark Levinson No.20.6Lスペック計測

計測機器

取り外したコンデンサですが、独特な取り付け方がされていました。

cello R-DAC |取り外したコンデンサ

cello R-DAC |取り外したコンデンサ

レギュレーター類は精度重視の選択をしすべて交換しました。

celloのレストアの場合はチューニングのようなことはしません。

あくまで製作者達の意図を最大限に解釈する最適化を行っていく作業となります。

cello R-DAC |取り外し交換した部品

cello R-DAC |取り外し交換した部品

合計60個以上のパーツを交換しました。

通常動作確認時のcello R-DACは圧巻なエネルギー感で、

時代を感じさせない”説得力”があるものになりました。調整範囲以内のある設定の効果です。

アナログライクと言うよりミュージックライクなDAC。

P301と同じA級ディスクリート回路はDACのみならず音楽力に寄与するものでしょう。

cello R-DAC Reference

cello R-DAC Reference

今回これを担当した技術者が見つけた設定はR-DACより魅力的なものにすることでしょう!

調整しきったcello R-DACはリファレンスシリーズにふさわしく、

マーク・レビンソン氏がチェロを立ち上げた時のコンセプトに合致するものです。