10周年記念モデル PHILIPS LHH700のオーバーホール整備

ご夫婦で楽しまれている

PHILIPS LHH700のレストア整備

PHILIPS LHH700

PHILIPS LHH700

PHILIPS LHH700。Audio Dripperではあまりお取り扱いがない機種ですが、PHILIPS社誕生100周年を記念したモデル。TDA1547を2個使用した贅沢な仕様。ドライブメカはCDM4。

この個体はあるご夫婦が新品時からご愛用されてきたもので、他にもいろいろなCDプレーヤーを聴いたがこれ以上ぴったり来るものがなかった、ということでフルオーバーホールをご依頼頂きました。

当社のお客様でもCHプレシジョンのフルセットや最新のdcsのセットをお持ちの方でもレストアしたSTUDERやPHILIPS機を気に入られている方がいらっしゃいます。CD黎明期当時のPHILIPS社やCDS社のスタッフは世界中から特に優秀なエンジニアが集められました。今でいうGAFAにいるエンジニアにかもしれません。

こうした古い機器を見聞きして、中古市場で探して安く入手しても、安いモノは安いなりの理由があります。手を掛けたいいモノを安く手放す人はいません。ワケがあるのです。くたびれた個体を聴いてあの機種はあんな音だったというのはちょっと寂しい。一方で、気に入った機器をシリアル毎(マイチェン毎)に入手して整備し、聴き楽しんでいるお客様も多数いらっしゃいます。趣味の深さや浅さは意外とすぐ伝わったりします。。。

 

1991年誕生のPHILIPS LHH700のレストア整備

さて、LHH700は到着当初は動作は不安定で、やはりサウンドも精彩が欠いたものでした。ブロックコンデンサーなどはメーカーによるファインチューニングがされており交換済でしたが1993年交換なので厳しい状況。

PHILIPS LHH700 作業前の写真

筐体右側の縦基板は出力回路で四角い2つの箱はPHILIPS製の出力トランスです。おそらくこの機種ならではのもの(ニッケルコア・オーディオトランス)。STUDER A727に近いですが電源部、アナログ基板、DA変換基板、出力基板の各基板がセパレートされています。 A725のような感じです。 

下記はPHILIPS LHH700のCD板を固定するクランパーのツメが1個欠けていたので修正。

PHILIPS_LHH700_のクランパーのツメが1個折れており接着いたしました。

内部を観ると当時30万円ほどのプレーヤーとは思えない造り。これが凝った筐体に入り最新チップや回路だと100万円は超えてきそうです。

PHILIPS LHH700のピックUP部を取り出します。

PHILIPS LHH700のピックUP部を取り出します。

下記はドライブメカですがレーザーダイオードの出力値は減少していたため、読み取りが不安定になってきた理由の一つでしょうか。ドライブ本体は分解整備します。CDM4でもコストがかかったバージョン。

PHILIPS_LHH700_ピックUP部_回転部のメンテナンス中の写真です

新品のピックアップへ交換調整

NEWピックアップへ交換調整

PHILIPS LHH700 ピックUP部サーボPCBの電子パーツを交換中。

PHILIPS LHH700 ピックUP部サーボPCBの電子パーツを交換中。

サーボPCB部を再ハンダ

サーボPCB部を再ハンダ中

電圧を調整するタクトSWの交換。

PHILIPS_LHH700_タクトSWを新品に交換

ドイツ製WIMAやCDS(PHILIPS&STUDER )社で使用のコンデンサへ交換。コンデンサの方向性も合わせて交換。

PHILIPS_LHH700_電子パーツを交換中写真です。

下記がファインチューニングの一部。コンデンサ等も固着されていました・・・PHILIPS_LHH700_メーカーチューニング部の写真です。

PHILIPS_LHH700_電源部の古い電子パーツの容量測定中の写真です。

電源部の古い国産ブロックコンデンサの容量を測定中(容量が多く表示)おそらく日本マランツがファインチューニングした時に選んだ部品だと思いますが、いずれも日本製に替わっていました。オランダPHILIPS社のプロ機やSTUDER機では使用されない部品です。

アナログ出力部の新品の電解コンデンサーの容量を測定中。

アナログ出力部の新品の電解コンデンサーの容量を測定中。

PHILIPS_LHH700_オペアンプをPHILIPS製品に交換_2本

PHILIPS LHH700 オペアンプをPHILIPS製品に交換

音色に関わる出力基板の部品はCDS社とPHILIPS社製へ交換。オペアンプはオランダPHILIPS社製のものへ交換。台湾製なども市販されています。

PHILIPS_LHH700_オペアンプをPHILIPS製品に交換

PHILIPS LHH700オペアンプをPHILIPS製品へ交換

液晶パネル部の整備中。

PHILIPS_LHH700_表示部を取り外します。

リモコン受光部の分解清掃

PHILIPS_LHH700_リモコン受光部の点検

下記はレストア整備後のPHILIPS LHH700の1KHz基準信号の歪率0.001%台(L・RCH)と優秀な成績です。PHILIPS_LHH700_1KHz_基準信号の歪率_0.001%台と優秀な成績です。

現在、左右CHの状態はぴったり合っている状態です。PHILIPS_LHH700_ACコードのクリーニング

接点クリーニング中。トレイのゴムパーツ2本も交換。

PHILIPS_LHH700_後面端子をクリーニング

ヒートシンクはSTUDER D730、731と同様です。電源部の造りは非常に似ています。容量的にはLHH700の方が大きいかもしれません。

しかし、CDプレーヤーの整備はノウハウが必要です。光学部、回転ドライブ系、DA変換部、メモリIC系、電源部、アナログ基板、DA変換基板、出力基板など多岐に渡りますね。これが出来ればかなりの機器がオーバーホールできます。さらに海外電子部品などの選択眼&センス、最後の調整時の測定器精度維持など多岐に渡ります・・・・

 

PHILIPS LHH700の動作テスト開始

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これから1週間ほど通常使用による動作テストを行います。不具合があれば症状が出てくるはずです。

しかし、、、おそらくLHH700が1991年製のCDプレーヤーとは誰も思わないと思います。展示はしていませんが現代機のデジタルプレーヤーもあります。堂々としたサウンドの風格はLHH700が圧倒的です。良質なパーツと余裕ある電子部品の製品はこうも違うかという感じでしょうか。

バブル時代に会社がユーザーへ利益還元したモデルなのかもしれません。現代で言うコスパとは根本的にちがう企業文化から生まれたオーディオ機器と言えるでしょうか。

オーバーホールしたPHILIPS LHH700 CDプレーヤー

オーバーホールしたPHILIPS LHH700 CDプレーヤー

ヨーロッパのクラシック音楽を奏でた時の余韻や甘み、重心が下がった響きなど満足頂けると思います!

DSC02831

およそ170あまりの電子部品を交換。白くなっているのがファインチューニングの痕跡なのですが、劣化するパーツを基板に固着させるのはスマートじゃないかも^^;

これから1週間テスト開始です!

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