youtube music archive

youtubeは音楽アーカイブになるか。

youtube

2010年の以降の、音楽の背景。

以前、あるオーディオ誌で『今の若者はスマホでしか音楽を聴かない云々….それは良くない傾向だ』というような事を読みました。しかし、スマホというメディアを生み出したのは若者ではなく、我々の世代です。10代~20代の若者はそのツールを利用しているだけですね。遡ればもしかすると『音楽を蓄音機やレコードで聴くとは何事だ』という世代もあったかもしれません。

時代と共に媒体は変わりますが、本質である「音楽」は変わりません。Hip-Hopのリリック(歌詞)も実は切実なメッセージである事が多い事もあります。Hip-Hopの原点はブラックアメリカンに対する差別であったり、格差社会へのアンチテーゼ、さらには根源的には米ミシシッピのBLUESだったり、もっと根源的な祝・祭だったりします。その瞬間聴きたい音楽を聴く事ができる事は幸せです!それが例えイヤフォンであってもその音楽でハッピーになれたり、癒されるのであればいいのです。もちろん自分だけの閉じた空間で聴くオーディオの音楽は、生演奏以上の満足があってもなんら不思議ではありません。

インターネットサービスと音楽

媒体や音楽の表層が時代と共に変わっていても、本質的なところはそう変わらないと言えます。
ただし、この数年大きく変わった事があります。その最たる媒体はgoogleがM&Aした「youtube」です。実は私個人はyoutubeが誕生する以前に日本発のyoutube同様のコンセプトにカンタンな編集ツールくっつけたサービスを国から支援頂き開発する法人にいました。でも結果的に回線の問題から普及には至りませんでしたが、現在ある自動車メーカーのNAVIなどに搭載されています。

youtubeは10億人からのアクセス数、76言語に翻訳され人口の98%をカバーされているダントツの映像サービス。ミュージシャン自身がコンテンツを世界中のリスナーへリアルタイムに届ける事は過去になかった事。表現者と受け手の共時性のスピードが恐ろしいまでに加速しました。

でき上がった音楽の流通量はGoogle Play Music、Amazon Prime Music、Spotifyで充分かもしれません。youtubeはマイナーなミュージシャンのLive映像などがかなりUPされています。本人のチャンネル等もありますね。音質クオリティはそう望めないかもしれませんが、コンセプトを語る動画やスタジオ内での録音風景、PVなど多様な面から音楽やミュージシャンを知っていく膨大なアーカイブでもあります。

Mliles Davisが1950年代後半にモードJazzを録音している時。マイルスが他演奏者の音への注視がどれだけあったのか?など音楽から予想できる事を映像としても観る事ができます。Bill Evansが残した音楽のイメージとは真逆のトーク等も興味深いコンテンツです。

コンテンポラリーJAZZではN.Y.ブルックリンのLiveハウスの映像や海外のジャズフェスの演奏が数日後にUpされたりしていますので、ほぼリアルタイムで観る事ができます。youtubeにUPされている断片的なコンテンツを俯瞰していく事でミュージシャンや時代の音楽アーカイブとしての側面が浮かび上がってきます。「おすすめ映像」的に表示されるコンテンツを観ているだけではマズイのですが、ググり方で異なる角度で観る事も可能ですね。

あくまでネット上のアーカイブで新しいミュージシャンやアーティストを知ったら、彼らのCDやソフトを購入してください。
Amazonで翌日届いたりしますので、このサイクルで毎月3,40枚購入していたのがここ数年でした。。現在も活動している音楽家のyoutubeで見聴きしても本人にはほとんど還元されませんので、どうぞCDをやソフトを購入ください、その1枚が、次の作品や音楽活動に繋がっています。過去の作品だけを聴くのも良いのですが、今を、同時代を生きるミュージシャンのメッセージを受け取ってみてください。よろしくお願いいたします!


Audio Dripper COO 清田亮一