KRELL KMA100 MK2 リフレッシュ整備 | 中古 クレル パワーアンプ

KRELL KMA100 MK2モノラルパワーアンプの整備

2年ぶりに徹底的に整備し直して、

甦ったKRELL KMA100 MK2

精緻に整備していけば、この時代のKRELLパワーアンプは

本来のサウンドをリバイバルできます。

もちろんプリアンプも!

KRELL Dan D'Agostino

KRELL Dan D’Agostino KMA100MK2(右2台)

Dan D’Agostinoパワーアンプ初期のKRELL KMA100 MK2

1980年代に登場したA級パワーアンプで名を馳せたKRELL社。私的に一番最初に入手したハイエンド機です。20代の頃にバイト代を貯めて購入した機種がKRELL PAM2(左右完全セパレートのボリュームのモノラルプリアンプ)。その後はKSA50を入手。後にKSA100、KSA200、PAM3、KRS2、PAM5、KSP7、KSA80B、KSA100s(可変バイアス式)などのプリアンプやパワーアンプでマーチンローガンやINFINITY、JBLなどのスピーカーを鳴らしていました。

20代~30代頃はフィールが合って一番信頼していたアンプメーカーかもしれません^^もちろん今も好きなパワーアンプです!

KRELL KMA100MK2パワーアンプ(2017年整備済)

KRELL KMA100MK2パワーアンプ(2017年整備済を再整備)

今回整備したKRELL KMA100 MK2は2年前にある整備会社で整備されたものですが調子を崩したため、当社のレストア専属技術者が完璧なコンディションに仕上げる整備を行いました。

KRELL_2代目の電源回路のハンダ付けがなされておりませんでした。

KRELL KMA100 MK2の電源回路(ブリッジダイオード)

上記は2週間に一度ほど動作させる際に若干、歪が出た個体があったので、モノラルパワーの左右ともすべての状態を確認するため、部品の状況などを確認中。 上記はKMA100 MK2の電源部ブロックコンデンサーのブリッジダイオードですが、一部ハンダ付けがなされていない状況・・・

下記は整備前の片CHの歪率です。整備後にはこれが一桁少なくなります。

KRELL KMA100 MK2の作業前の歪率

KRELL KMA100 MK2の作業前の歪率

さらにいくつか部品を測定した結果かなり悪い状況だったので、現在根本的な整備を行っています。下記はKRELL KMA100 MK2の初段、ドライバー段のオーディオボードですが予想以上にかなりの電子部品の劣化が進んでいた状況でした。

KRELL KMA100 MK2のオーディオボード整備

KRELL KMA100 MK2のオーディオボード整備

KRELL KMA100 MK2のオーディオボード整備

KRELL KMA100 MK2のオーディオボード整備

下記の金色のERO(現Vishay/Roederstein)チューブラコンデンサーですが、すべてNGでした。これはKRS2のオーバーホール整備の時も同様にNGでした。このコンデンサーの劣化が、KRELLのアンプに元々備わっていた薫るような甘みを失くす原因ではないかと思います。デビュー当時のクレルのパワーアンプは瑞々しいサウンドとして有名になったはずなのに。

KRELL KMA100 MK2のオーディオボード整備

KRELL KMA100 MK2のオーディオボード整備

トランジスタの増幅率がトランジスタ毎に異なっているため同一のトランジスタを多数用意。今でもあるんです。搭載用のトランジスタを選択。増幅率を診ていき搭載するトランジスタを選びます。これが歪率やS/N比に効いてきます。

KRELL KMA100 MK2のパワートランジスタの選択

KRELL KMA100 MK2のパワートランジスタの選択

40年程使われていたトランジスタの増幅率はかなりバラバラな状態になっていました

KRELL KMA100MK2に使用されていたトランジスタ

KRELL KMA100MK2に使用されていたトランジスタ

正確な数値がとれるFLUKEで最適なバイアス調整を行います。発熱度合いも確認。

KRELL KMA100 MK2のバイアス調整

KRELL KMA100 MK2のバイアス調整

KRELL KMA100 MK2のヒートシンク発熱

KRELL KMA100 MK2のヒートシンク発熱

KRELL KMA100 MK2には底面にファンが付いておりヒートシンクを冷やす構造。

DCバランスを0.0000Vまで調整

DCバランスを0.0000Vまで調整!

KREL_正弦波の写真です。

上記は1kHzの正弦波です。実パワー15W出力時。

整備前から一桁歪率が下がりました。A級アンプだと通常0.1%以下でもかなり優秀です。「THD+N=0.0037%」

KRELL KMA100 MK2の整備後の歪率

KRELL KMA100 MK2の整備後の歪率

さらに調整したところ、S.N比がなんと-100dB以上とかなり改善しました

”実測S/N比”はなんと-100dB以上とかなり改善しました。

KRELL KMA100MK2|100個以上交換パーツ・劣化部品

KRELL KMA100MK2|100個以上交換パーツ・劣化部品

KRELL KMA100 MK2の「Signal to Noise ratio」はパワーアンプの重要な指標

ちなみに【S/N比】とは「Signal to Noise ratio」の略語です。翻訳すると「信号対雑音比」です。最大出力レベルと無入力時のノイズレベルの差でS/N比の数値が大きければ大きいほどノイズに対して、出したい信号の大きさが大きいため、良いアンプと言えます。数字が大きい方がノイズの影響が小さく、性能が優れていると言えます。

KRELL KMA100 MK2 RF  |クレルA級モノラルアンプ 国内正規品

KRELL KMA100 MK2 |クレルA級モノラルアンプ 国内正規品

パワーアンプで言うノイズとは本来的には配線などの取り回しや外来から拾わなくても良いノイズをどれだけ拾ってしまうかを参考にする数値で、プリアンプからの微弱な信号から大パワーを引き出す際に重要なアンプの基本設計にも関わってくる性能と言えます。いいパワーアンプは静けさの中から低歪率で音がリニアに左右CHから正確に立ち上がり、ステレオフォニックをつくります。立体感はS/N比にも関係してきます。ノイズが大きいと微弱信号を再現できないという理由です。

現在ではカタログ値で105dBある10万円台~の国産パワーアンプは多数あるので一概にはカタログ数値で判断できませんが、ある種の指標の一つです。

中古 クレル KRELL KMA100 MK2

KRELL KMA100 MK2 フル整備

今回の整備込み価格は大サービスとなりました^^;

この時代のクレル・パワーアンプは正しく正確に、精緻に手を入れればしっかり甦ります!


現在、最終調整の段階で10月中旬以降からご納品となります。