D/Aコンバーターにおける四半世紀の時間経過は
どれほどの差があるのだろう?
KRELL SBP-64Xはオーバーホール整備したばかりの個体です。
MSB TECHNOLOGY Analog DAC&POWER BASEとKRELL SBP-64XのListen view
最初に、KRELL SBP-64Xは1990年に登場したクレルデジタル社の
フラグシップDAコンバーターです。余裕ある電源部とBurr-Brown製のチップが
4基ついた贅沢な仕様でした。
今回の個体はオーバーホールした個体をセットしました。
登場から四半世紀、30年近く経ちますのでKRELL SBP-64Xのポイントでもある
余裕ある電源部のコンデンサがリーク、劣化している状況でしたので”丸い”サウンドへと劣化……
トランスは各カテゴリーに1つのトロイダルトランスが搭載されています!
電源部のモトローラ製トランジスタの増幅率も今イチでしたので3つとも交換しました。
別ページで整備概要を書こうと思います。
MSB TECHNOLOGY Analog DAC&POWER BASEとKRELL SBP-64Xのサウンド
MSB TECHNOLOGY Analog DAC&POWER BASEの試聴と同日に同じソフトを聴きました。
まずKRELLですが整備前との差がかなりありました!
鮮度が上がり力も出てサウンドステージも良好です!30年前のDAコンバーターとは思えないほど。
2013年リリースのFederico Casagrande/The Ancient Battle Of The Invisible/CAM JAZZ盤から。
リーダーがギタリストでサイドにヴィブラフォンとリズム編成。
フェデリコ・カサグランデは2007年ギブソン・モントルー・ジャズ・ギター・コンペティション優勝者です。
ギラド・へクセルマンなども優勝してます。好きなギタリストだったのでほぼ発売日に入手。
コンテンポラリーJAZZでクオリティ感あるスタジオワークの盤。
いいシステムだとヴィブラフォンは鍵盤の位置が映像で見えているように
聴こえるのでグルグル回るような感覚・・・KRELL SBP-64Xでも明快な音像で立体感があり
エネルギッシュなカロリー多め!みたいな鳴り具合。
ダークなヨーロッパのコンテンポラリーJAZZの匂い
フロントのギターとヴィブラフォンの後ろにドラムスがいるレイアウトで
奥行感が出つつ、シンバルの種類や色合いがしっかり聴き分けられる録音、
リムショットのパルシブなショットがどう鳴るか。。。
微細な音色の差や空間性のイメージングはMSBが明快です。
KRELLは音色の濃さや全体的なサウンドの厚みに当時のサウンド傾向がある感じでしょうか。
現在のUSEDプライスの差はあると思いますが、
現代DACの中でもMSB TECHNOLOGY Analog DAC&POWER BASEが聴かせる
ナチュラルで瑞々しいサウンドは好印象です。クールになり過ぎないほど良いナチュラル感。。
聴き方によってはオーバーホールしたKRELL SBP-64Xとの差は僅かとも言えます。
もっと古いソースならどうか……………?
実際は古いジャクリーヌ・デュ・プレ盤やマイルス・デイヴィス盤などの空間情報が少ない盤では
KRELL SBP-64Xの良さも出てきます。
単純な印象ではサウンドの温度感や厚みはKRELL SBP-64Xです。
ワイドに広がるステージ感はほぼ同じです
奥行表現はMSB TECHNOLOGY Analog DAC&POWER BASEが明快な傾向。
しかし、立体感あるサウンドステージをベースに展開される、
ナチュラルで伸びやかなサウンドはMSBの特徴でしょうね。
この両機、電源などの考え方はとても似ていると思います。
今回付属のMSBのオプション電源は5つのトロイダルトランスから出来ています。
今回セットしたシステムはLINN KLIMAXシリーズなどとJBL Everest K2 S9800を駆動しました。
今回のテーマ「四半世紀」のデジタル技術の差がもっと明確に出るかと思いましたが、
それよりも設計思想の方が大きいのかもしれません。
・・・KRELL SBP-64Xのオーバーホール前ならMSBと比較できなかったかもしれません。