ネルソン・パス、Pass Labs XA60.5
モノラルパワーアンプ・レビュー
高能率スピーカーに照準をしぼった(おそらく)、
ネルソンパスのA級モノラルパワーアンプ。
下の写真はNelson Pass. 2008年 FirstWatt発売時だそうです。
写真が小さくよくわかりませんが、おそらくLOWTHER PM6AやPM2Aとかの
フルレンジじゃないかと思います。たしか能率は98dB/mとかあるはずです。
SIT1などはALTEC A7などを鳴らすために製作したと噂されていました。
ローサーやアルテックなどネルソン・パスはアンプ設計において
振動版が軽い高能率スピーカーを効率良く鳴らすための
アンプをコンセプトに開発していたのでしょうね。
本国サイトのXA25の紹介ページには【・・・出力ステージは、プッシュプルクラスAで動作する800ワットの新世代出力トランジスタのシングルペアで構成されています。その結果、高速、低歪み、低ノイズ、高減衰、および低インピーダンススピーカーへのクラスA動作エンベロープがすべてシンプルになりました。合計3ペアのプッシュプルゲイントランジスタを備えた3段回路。】とあります。
パワーアンプのコンセプトや価格、規模にもよりますが、
ネルソン・パスはこの20年は一貫した思想で設計されている感じなのでしょうね。
20分ほどで目覚めるPass Labs XA60.5 モノラルパワーアンプ
ちょうど良いサイズ感のモノラルパワーアンプがPass Labs XA60.5でしょうか。
重さが約30㎏サイズも50㎝四方に収まります。
筐体の左右ヒートシンクが上向きに羽のように伸び、
メーター(バイアス)が鎮座するパワーアンプらしいデザイン。
メイン電源はリアパネルにあり、前面にはONスイッチ。
XA60の改良型.5モデルで回路はシンプルなクラスA級(60W 8Ω)仕様です。
米 ステレオファイル誌にかなり詳しく掲載されています^^
高能率型のALTEC A7&UREI 813をドライブ!
試聴は高能率というキーワードからALTEC A7とPass Labs XA60.5をUREI813へ接続。
はじめはちょっと力感がないかな・・・潤いが足りないかな、、、と思いながら
20分経過したあたりから、なんとも言えないしなやかさでピュアなサウンド。
とにかく有機的な「やわらかい」サウンド。
サウンド全体に”重さ”を感じさせないいい感触。
試聴したソースはDelius/SEA DRIFT/argoの第2楽章や
Rosset Meyer Geiger(ステファノ・アメリオの伊スタジオで録音マスタリング)盤、
元ちとせ/君ヲ想ふ、Pat Martino/All side Now/Bluenote、
Jacqueline du Préの1967年録音チェロ&ピアノソナタ、ピーターガブリエル/Soなど。
各盤聴きどころがあります。
Pass Labs XA60.5でALTEC A7をドライブ
まず、ALTEC A7は下手に鳴らすとホーン鳴りと箱鳴りが気になり、
次に歪が気になったりします。
一聴、Pass Labs XA60.5では歪が少なくなった?かなという聴感。
Pat Martino/All side Now/Bluenote盤のボーカルトラック「BOTH SIDES NOW」。
カサンドラ・ウイルソンがボーカルでサブギターが入ります。静かに歌い上げる曲ですね。
音像が大きくなりやすいのですが意外とタイトに、そしてボーカルが1歩前に出てくる感じ。
聴き手との距離感が近く自分のためだけに語ってくれるイメージになるとベストでしょうか。
UREI 813だと全体の質感が上がりよりタイトに表現されるかな…..
この辺りはそれぞれのスピーカーのセッティングを詰めていけば変わってくるはず。
ステファノ・アメリオ録音&マスタリングのRosset Meyer Geigerトリオ曲、
若干古い解釈・・・スピーカーの古さが出ている感じですが、
シンバルレガートのグルーヴ感やアクセントがとても良くドライブ感が出てきます。
一般的な現代アンプだとALTECと相性が悪く面白くない鳴り方になってもおかしくない
盤ですがギリ聴ける感じでしょうか。
UREIだととても良いコンテンポラリー感が出てきます。
ALTECで良かったのがJacqueline du Préの1967年録音 BEETHOVENチェロ&ピアノソナタ3番。
1967年という時空を感じさせ、演奏におけるある種のテンション甘みなどが
しっかり伝わってくるいい相性でした。
今回の一番ハマった盤はDelius /Sea drift/ argo、バリトン&合唱が入る大編成のシンフォニー。
下の写真のようなサウンドステージで、赤〇がバリトン、合唱などが深く広く広がります!
僕の試聴時のメモでは「広い!」「高い!」「ひな壇」、
「素晴らしい!」とメモされてました。デプス、ハイト&ワイドがとても良く出ていました。
特にUREIではスピーカーの枠を超えて広大なサウンドステージとなりました。
予定では来週、JBLDD66000が甲府店に入荷予定なので再度聴いてみたいと思います。
私的にPeter Gabriel/So/Virgin『Don’t Give Up』 feat. Kate Bushの
地獄の淵から沸き起こる通奏低音や12m×3mの壁が暗く淀むような重さが意外!
無機質に響くボイス。中空に浮かび寄り添う天使のようなKate Bushも聴き応えありました。