PHILIPS LHH2000のオーバーホール整備、LHH2000が3台勢ぞろい。

お客様所有のオーバーホール前のPHILIPS LHH2000。

2台は売るかもしれません、とのことです^^

PHILIPS LHH2000のオーバーホール整備、

1982年秋登場のLHH2000が3台勢ぞろい。

PHILIPS LHH2000整備

PHILIPS LHH2000整備

世界初のプロ用CDプレーヤーPHILIPS LHH2000

CDメディアが生まれた1982年、プロ機としてはじめてソニー製と同時期に登場したオランダPHILIPS LHH2000。写真のお預かりしているPHILIPS LHH2000は修理のみの個体ですので、ボケたサウンドで動作する、というだけですが、消耗劣化した38年前の部品を交換していき、調整する事で現在でもその存在感は一聴し納得できるものです。コストがかかったドライブメカにあるでしょう。

PHILIPS LHH2000 NEW CDM-0

PHILIPS LHH2000 NEW CDM-0(一昨年輸入した新品のCDM-0)

一号機はPHILIPS CDM-0(鋳鉄ベース)が搭載されていました。現在のCDプレーヤーのレーザーダイオード本体、ピックアップを比べるとまったく違います。一号機はドイツカールツァイス製ガラス製でその後、ローデンシュトック製になります。今はプラスティックレンズです。

カールツァイス製レンズの自然さ。

僕は近視で眼鏡をかけます。最近は遠近も必要になりました。以前は国産レンズでしたが、眼鏡屋さんのすすめでカールツァイス製を試したところメチャ見やすくなりました。一番の特徴は自然さです。

当然日常空間は3Dの立体です。ところがこれまでの国産レンズだと、立体感も平板で歪んで見えていたことに気がつかずに使っていました。20年以上歪んでみたていた事になると思います。歪率はおそらく0.5%とかそういう世界ではないかと思いますが、カールツァイス製レンズにすると、歪がなく立体感がとても自然でした。たしかにコストはかかりますが、何本かある眼鏡レンズがカールツァイスレンズになりました。

カールツァイスレンズの眼鏡

カールツァイスレンズの眼鏡

CD盤の溝を照射しデジタル信号を読み取るレンズも重要なのは言うまでもなく、人間の眼(眼鏡)のようなものです。PHILIPS LHH2000をフル整備した個体の最大の魅力は演奏している場の空気感や遠近感、演奏者同士の関係性、呼吸までが伝わってくるところだと思います。とても濃密なエア感が出ます。もちろん温度感ある音色も魅力です。

こうした繊細な音楽信号がPHILIPS LHH2000の魅力でもあるため、劣化した多くの部品がある個体は致命的になります。こうした事はヴィンテージハイエンド機すべてに言えます。微弱信号を扱うプリアンプや熱に晒されるパワーアンプなど。。ぶっちゃけ、鈍感なほうが幸せです。

PHILIPS CDM-0ドライブメカ。鋳鉄製のマウント部分

PHILIPS CDM-0ドライブメカ

後日ピックアップ機構をここにアップしますのでご覧ください。年代モデルよってまったくちがいます。

PHILIPS LHH2000の構造

PHILIPS LHH2000は古いコンピュータのような構造である種のモジュール式と言えます。電源部、ドライブ制御系、DA部、アナログ・出力部、電源部など各パートがセパレート化された基板でできたCDプレーヤー。

PHILIPS LHH2000レストア整備機

PHILIPS LHH2000レストア整備機

製造から40年近くたちますので搭載されているタイプのコンデンサーはいずれも劣化していると考えてください。コンデンサーは簡単に言えば充電式の乾電池みたいなものです。さらにIC、トランジスター、レギュレータ類なども交換時期かと思います。

右側が新品未開封だったCDM1の経年劣化した電素パーツを交換したドライブメカ

右側が新品未開封だったCDM1(新品でも経年劣化したパーツを交換したドライブメカ)

下の写真はPHILIPS LHH2000の内部写真で右側にドライブメカがあります。各基板が映っています。この構造はSTUDER A725も似たようなレイアウトです。A725はドライブメカがセンターになっていますね。当時の価格で約200万円だったPHILIPS LHH2000は基板やトランスなどにコストがかかっています。

現在の市場価格は整備済みの個体で140万円ほど、過去に修理のみの動く個体で100万円を超える市場価格で流通しています。

PHILIPS LHH2000の内部

PHILIPS LHH2000の内部

上は磁束密度が高いトランスが使われているPHILIPS LHH2000。理路整然と基板が並んでますが、スタジオ機器の構造とも言えます。

下記はA725となります。ドライブメカやDACはPHILIPS LHH2000と同等で当時の販売価格が498,000円は戦略価格だったのでしょうね。現在この時代に製造されたCDプレーヤーで流通しているものはほとんどありません。

LHH2000を彷彿する各セクション独立基板のSTUDER A725

LHH2000を彷彿する各セクション独立基板のSTUDER A725

現在Audio Dripperのお客様から何台か預かっています。1台は完全オーバーホール整備中です。他2台はこれからどうしようか考え中だそうです。

いずれのPHILIPS LHH2000もコンデンサーの劣化やレーザーダイオード消耗で大規模なオーバーホールが必要な状態です。逆に言うとドライブメカまで新品にすると新品同様の状態になる可能性があります。

欲しい方がいらっしゃたらお知らせください。

PHILIPS LHH2000|いずれも綺麗な外観

PHILIPS LHH2000|いずれも綺麗な外観

PHILIPS LHH2000

PHILIPS LHH2000

PHILIPS LHH2000

PHILIPS LHH2000