ときに、音楽家と1対1で向き合える幻想。
TANNOY GRF RED LSU/HF/15/L
NEW 2022.6.15 更新
■USA TANNOY AUTOGRAPH PROFESSIONAL オリジナル(~¥6,000,000.ASK)ご案内可能です
■TANNOY Impelial オリジナル(~¥7,500,000.ASK)ご案内可能です
製品ルーツは国内では希少なTANNOYを数多く取り扱ってきた会社で海外から仕入れ整備された個体です。1ペアで4発(1本当たり2本)の15REDが使用されているモデルです。五味康祐氏が使用されていたREDの近似シリアルのマッチドペア・ユニットも使われています。インペリアルは世界で10ペアしかない希少なものです。お客様の希望価格はございますが御相談が可能です。ご購入前提の方は実機のご試聴も可能です。
下記は2019年11月14日のページ
僕が季刊ステレオサウンド誌を楽しみにしていた20代の頃、
一際、個性的な広告ページを掲載していたショップが神戸にあった。
正直内容はあまりよくわからなかったけど、
その広告ページは毎号、詩情溢れる只ならぬ気配を発していた。
扱っている機器の多くはMarantz#7や#9、TANNOY GRF、
TNNOY Autograph(レッドやシルバーユニット) など。
そのショップは神戸 ガス燈

TANNOY GRF Monitor RED LSU/HF/15/L|神戸ガス燈
久しぶりに聴くタンノイ同軸ユニット
僕がプライベートでTANNOYのスピーカーを購入したのは
学生の頃に入手したKシリーズのアーデン(K3808 ? レクタンギュラー)。
当時はJAZZ喫茶のバイト代、2か月分丸々^^;
それからティアックが取り扱ったTANNOY Autograph(進工舎製キャビネット)。

故 Jacqueline du Preのインスタグラムの1枚
これらはマーラーのシンフォニーやジャクリーヌ・デュ・プレ、
ECMのピアノトリオのみを聴きたいがために入手。
結果、どうだったか?
シンフォニーはまあまあに良かったと思うのだけど。。。ただアンプの選択や
鳴らし方が良くなかったのか、どうしても「ボワボワ」としたLOWが気になる・・・
どうやっても消せない状況(気になると頭から離れない^^;)。
なにかしらホロ苦い経験がタンノイ。
やはり鳴らすのが難しいスピーカーなんだと思う。

タンノイ・オートグラフ|TANNOY Autograph Monitor Gold 15 LSU/HF/15/8
ある時、Audio Dripperのお客様宅で聴いたTANNOYは、
Mark LevinsonでTANNOY Autograph(モニターGOLD)を鳴らされていた。
そのサウンドはかつて僕が鳴らした同じキャビネットとは
思えないほど筋肉質かつ優美なサウンドで驚いた。
使い手の意志と浪漫をもってトランデュースするスピーカー。
その変換が正確ではないだろうところに魅力の大部分が隠れている。
世界が理屈や数式以上に、シンプルかつ複雑なもので成り立つように。

TANNOY GRF RED LSU-HF-15-L
さて、 今回入荷したタンノイは詩情溢れる神戸ガス燈が
プロデュースしたTANNOY GRF Monitor RED LSU/HF/15/L。
キャビネットの乾き具合が程よく進行した個体。
ある程度の固さがある素材のため、あのボワボワがない!
サランネットの濃い質感もあってどこかしら凛とした雰囲気が漂うキャビネット。
オリジナルキャビネットではないが、U社あたりのモノとは異なる佇まい・・・・

現在では乾きが進行しカラッとしたローが出るキャビネットになっています!
タンノイモニターレッドユニットには初期・後期タイプがあり、
今回入荷は初期のセンターキャップが飴色のユニット。
入荷した時にMarantz7やMC240、Marantz8などで鳴らした際は
とても良くて燻し銀&艶やかなサウンド!
大人っぽい?どこからしら不良っぽい?
斜に構えたような?なんとも難しい音色・・・・
でも音像定位は測ったように屹立してくれる同軸ならでは。
ボーカルはほぼ「リアルな顔で歌う口元」のようなピンポイントさ!

TANNOY GRFのキャビネット構造
キャビネット自体の大元は1940年代で確立されたであろう、
複雑なホーンロード構造で、おそらく40Hzあたりから120Hz位までの
ローレンジがキャビネット両脇のホーンから出るはず。
なので、その上の帯域であるコーン紙とは理屈的にタイムアライメントが合っていない。
後期JBL Hartsfieldも同様の理屈のはず。
理屈と現実、実態が離反することは多々あるので気にしない。
同軸ユニット自体も構造上ダイアフラムの位置が異なるので厳密には”合わない”のに、
人の声は本当にピンポイントで背景が出る!
たとえば今回試聴したDelius / Sea Drift Florida Suite /Argo盤、
とても大きくゆったりとした編成でうねるように展開されていく楽想。オペラっぽい。
バリトンやソプラノの独唱者からシンフォニー、コーラスとひな壇のように
あらわれる。掛け合いも見事にキマる。

Delius / Sea Drift; Florida Suite /Argo
ちょうど入荷したパワーアンプcello PERFORMANCE Ⅱ(トランジスタ)にすると、
スケール感がぐっと大きくなり、キャンバスの中身がギュッと
詰まってきて前後のデプスも出てくる。同軸1発とは思えないスケール。
60WまではA級で動作するパワーアンプ。
GRFというオールホーン型キャビネット形式だと気づく。

TANNOY GRF RED LSU/HF/15/L
cello AUDIO PERFORMANCEⅡは15Ωのヴィンテージユニットであっても、
ほぼ関係なくドライブする、おそらく想定外のスピーカーだと思う。
TANNOY GRF RED LSU/HF/15/Lでもナンのギモンもなく、
ドライブする感じはオーディオ的な快感がある。

Suzanne Vega / Solitude Standing / A&M
女子ボーカル盤は懐かしいスザンヌ・ヴェガ。
アンニュイなアカペラからはじまるトラック、夜の影、孤独(ひとり)、ことば、
というタイトル。ニューヨークに移り住んだ女性の
心模様を表現していく、TANNOY GRF Monitor RED LSU/HF/15/L。
1対1で彼女の告白、独白を聴いている錯覚に陥る。
解像度や分解能が高いわけではない。気配が漂う。
音楽の気配というのかよくわからないけど、そういう空気感。
懐かしいFamous Blue Raincoat /Jennifer Warnes / Cypress Recordsも試聴。
今回の試聴盤はほぼ20代の頃に購入した盤ばかり^^
ジェニファー・ウォーンズ盤をTANNOY で聴くのははじめてかも。
レナード・コーエンを歌ったアルバム、
あらためて完成度が高いプロダクトに巧みなボーカル。
TANNOY GRF RED LSU/HF/15/Lでは特にスローテンポの楽曲がよく、
アルバムタイトル曲の弦楽6重奏とテナー、ピアノボーカルの
アンニュイな色あい、憂いあるボーカル、程よいテンションの緩さは絶妙。
レナード・コーエン本人も参加する4トラック目のオンマイクなコーエンと
リバーブをちょっと入れたジェニファーの対比、
コーエンがリードの時に奥に位置させる多彩なミキシングなど、
曲ごとに造り込まれた多彩なスタジオワークがわかる。
そして、意外と良かったのが、2000年代以降にリリースされた、
コンテンポラリーJAZZの浮遊感溢れるコード展開の演奏。
チェコスロバキアのギタリストDavid Dorůžka/FRESH SOUND盤とか。
内省的な楽想で即興していく演奏がとてもハマる。
東欧ルーツの音楽がもつ陰翳感と2000年以降のJAZZに見られる、
浮遊するコード感がとても合う!モーダルな演奏スタイルに合うのかもしれない。

WANDERING SONG/ DAVID DORUZKA ダヴィド・ドルージュカ/FRESH SOUND NEW TALENT
1960年代BlueNoteはNG!もっとふさわしいスピーカーがある。
JAZZなら今のモーダルジャズや古めなECMなども似合うだろうと思う。
さらにカート・ローゼンウインケルやティグラン・ハマシアンとか。
間違ってもキャノンボール・アダレイやソニー・ロリンズではない。

TANNOY GRF RED LSU/HF/15/L
TANNOY GRF RED LSU/HF/15/L × 神戸ガス燈GRFキャビネットは
散々オーディオを愉しんできた方におすすめのスピーカーの一つ。