BARCLAY DIGITAL X1 CD Transportのオーバーホール整備

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport|バークレイデジタルのオーバーホール整備

凄まじいコンストラクションで成る

CDトランスポートのオーバーホール。

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport|CDトランスポートオーバーホール

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport|バークレイデジタルX1

あまり詳しくないのですが、バークレイデジタル社は1980年代から90年代にかけてデジタル機器、特にCDトランスポートなどを製造していた米国の会社です。その造りの凄さから当時から独特な存在感があったと記憶しています。

▼製造したプロダクト
BARCLAY DIGITAL CABERNET | CDM-1/MKII
BARCLAY DIGITAL F1|CDM-9 Pro
BARCLAY DIGITAL  M1|CDM-1/MKII
BARCLAY DIGITAL X-1 |CDM-9 Pro

BARCLAY DIGITAL X-1 CDトランスポートは今回で2台目のオーバーホール整備となります。

過去の1台、今回依頼された個体ともPHILIPS CDM-9 proがNGで音飛びがありました。制御基板やメイン基板、電源部のコンデンサ類も液漏れや消耗などがありました。

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport

下記はドライブメカですが、アルミ削り出しブロックの上にCDM1にも近いフレームにCDM9proがマウントされています。下記のように制御基板もオリジナルで起こしてありとてもコストがかかっています。これらの基板は当時のハイエンドプリアンプの信号系に使用されたりしていました。

BARCLAY DIGITAL X-1 ドライブメカ分解整備

BARCLAY DIGITAL X-1 ドライブメカ分解整備

搭載されている基板に手抜きはありませんね。

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport|バークレイCDトランスポートオーバーホール整備中

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport|バークレイCDトランスポートオーバーホール整備中

ここでCDM9PROのスィングアームの引っ掛かりがありスムーズに回転しません。

この位置でCDM9PROのスィングアームの引っ掛かりがありスムーズに回転しません。

今回の個体はお客さまが以前に修理依頼されたところで新品レーザーダイオードへ交換されたそうですがすぐに音飛びが発生し始めたそうです。

今回はコロナ禍のせいでドイツからの輸入がままならず、かなりの時間がかかりました。また”まとも”なCDM9PROがないというのも遅くなった理由です。またモーターもNGだったたため輸入となりました。

結果、オーバーホール整備にかかった期間が5か月ぐらいになってしまいました。。

PHILIPS CDM-9PROのモーター

PHILIPS CDM-9PROのモーター左下、レーザーダイオード左上、真ん中下はICチップ

制御基板のICもNGとなっていましたので交換です。バーククレイのCDトランスポートに限らず劣化しているCDプレーヤーやトランスポートは多数あります。

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport|約50個の劣化部品の交換

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport|約50個の劣化部品の交換

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport|劣化部品の交換

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport|劣化部品の交換

下記は電源部のコンデンサですが、celloアンコール等のプリアンプの別筐体電源部の電解コンデンサとほぼ同じです。

取り外した電源部コンデンサの状況です。

取り外した電源部ブロックコンデンサの状況です。

下記はドライブメカベースです。KRELL MD1にも似た構造ですがベースの重量はバークレイの方がありそうです。FLUKEで計測したコンデンサ容量ですが劣化した数値が計測されました、

容量測定すると6800μFが8125μFとかなりの電子パーツの劣化があります。

容量測定すると6800μFが8125μFとかなりの電子パーツの劣化があります。

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport オーバーホール版のサウンド

音が出た瞬間から”ちがいを感じる”サウンドでどんなCD盤でもしっかりした骨格があり、リアリズム漲るサウンドです。音そのものに蜜度感があって現実的な音との差を感じさせないなんとも言えない感触。。。アナログorデジタルがどうしたという世俗な領域、媒体ありきの領域を軽く超えた純粋に音のリアリティ・・・が凄いバークレイデジタル。基板一つとってもアルミモノコックボディを見ても凄まじいまでの拘りがデザインされたCDトランスポートの傑作。

・・・しかし残念ながらまともな個体はこの世に極々少数です。

CD Review

グールドのリアリズムは過去最高の一つ。DACはゴールドムンド。アメリオ録音の特質もよく表し、LOWの分解能エネルギーが溜まらないものがあります。この時代ならではの贅沢なサウンドですね。

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport

BARCLAY DIGITAL X1 CD Transport