Mark Levinson ML-2L レストア録5  EIコア

憂鬱なOLD Mark Levinson 整備録 ~5~

Mark Levinson ML-2L(mono power amp)maintenance EIコア型・・・


マーク・レビンソン ML2Lの整備録5回目です。5回目でも山半ばの状態です。こちらのML-2LはEIコア型のトランスをエキポシで固めてある初期型モデルとなります。EIコアトランスの特性(当時最高の素材と製造方法です)や処置の意味合いがご存知であれば、ML-2Lの中では希少性が高い事はわかるかと思います。

しかし、このモデルは前回のトロイダル型とは比べようもない程状態が悪く、フルレストアが必要な状態であることがわかりました。初期ML-2Lモデルで全ての電解コンデンサーと全トランジスタを同一製造ロットの選別品で修理や整備をしたML-2lは極々少ないと思います。

ML2Lの劣化電解コンデンサー。これでも音は出ています。

ML2Lの劣化電解コンデンサー。これでも現代ハイエンドパワーとそこそこ比較できる位の音は出ています。

ML-2Lの1台の中に上記写真のコンデンサーが4つあります。この平滑コンデンサーの中には「Safety Vene」が設けられ、緊急の場合は、ここから内部のガスを出す安全弁という機能があります。取り外したところ、既に乾燥しており劣化が進んでいました。このML2LはMark Levinsonのプリアンプと一緒にご予約も頂き、ご入金も頂いていましたが、トロイダルモデルの状態から急きょ健康診断をしました。

このまま納品していた場合近い将来、問題が出ていたと思いますので、全Trの交換や電解コンデンサー交換、オーディオボードとレギュレーターボード等をフルレストアして納品させて頂きます。お待ち頂いていますので、Mark Levinsonプリアンプ2種、パワーアンプ2種(他セットも)を試聴頂き好みのセットを選んで頂く予定です(お時間がかかり申し訳ありません==;)。

このML-2Lはレビンソン・コレクターの前オーナーさまが大切にされてきた履歴があり、定期的に整備をされていた個体でした。しかしながら修理箇所やパーツからどんなレベルの修理が施されて来たかは、分解し計測した段階でわかりました。トランジスタはトロイダルのML2L以上に製造年等がばらばらでした。当社に入荷する品物は中古オーディオの中でも良い状態の物が多いのですが、現状は厳しいもので、ヴィンテージ・ハイエンド製品の音質クオリティは個体差で圧倒的にちがいます。それ程内部パーツの調律ができていない個体が多い現状です。


技術担当の結論としては、すべてやり直し、するという方向でオリジナルパーツや同一規格品を世界中へ手配いたしました。日本へは7月末に到着します。オリジナルパーツと言っても当時物は誤差が非常にあるため同一パーツを相当数に入手し選別いたします。レストア修理コストは笑いが出る位で書けません。

ML2L 劣化部品

ML2L 劣化部品(相当に危険な状態)

「ML-2Lはもう古い音・・・」が本当なのかどうなのか、私は知りません。これまで何ペアも聴いていますが、今思い返せばそれが正常な音だったのか、自信がありません・・・・オリジナル部品のままなら上の状態(破裂寸前)のパーツが散見していた事でしょう。当時のデッドストックの未使用オリジナル部品で組み上げたとしても精度自体が出ていないパーツが多数あるため、雰囲気のあるしなやかな音(実は、ボヤけた柔らかい音)になっていたかもしれません。現段階でML-2Lのトライダルトランス・モデルとEIコア・モデルの音の差は明確にある事もわかりました(2016年9月18日現在:最終的にトロイダル、EIコア型のフルレストア後の差は極めて少ないものでした)。

初期ML-2Lをフルレストアした音がどれ程のものか、お客さまと共に知りたいと思います。