人とオーディオは、もしかすると そんなに差はない。 PHILIPS LHH2000のオーバーホール

人とオーディオは、もしかすると

そんなに差はない?

PHILIPS LHH2000のオーバーホール。

ちょっとレアな2連コンソールのPHILIPS LHH2000|フィリップスLHH2000

PHILIPS LHH2000|フィリップス初代プロ用CDプレーヤー

PHILIPS LHH2000|フィリップス初代プロ用CDプレーヤー

PHILIPS LHH2000のオーバーホール前の状況

 

上の写真を見てナニか気がつかれた方は、かなりのヲタク。

連番2台のPHILIPS LHH2000のコントローラーは2台用で、

2セットのPHILIPS LHH2000本体をコントロールできるものです。

本体の1台はコントローラーのデジタル表示にチラつきが出ます。

裏側から見ると電源部にはPHILIPS製のコンデンサがあり、

容量抜けしている可能性大。音もかなりボケていて覇気がない状態。

 

なぜ、機器は劣化していくのか?

 

オーディオ機器を人として考えるとわかりやすいかもしれません。

脳、眼・視力や耳・聴力、神経系、腕力や脚力など

身体のメンテナンス、運動や人間ドック、食事習慣など

おろそかだと若い頃より劣っていきます。

しかし、年を経ても経験の蓄積によって若さにない魅力も生まれます。

オーディオ機器も似たようなもの、か。

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PHILIPS LHH2000で言えば、40年前の独カールツァイス製3枚ガラスレンズの

レーザーダイオードでCD盤に光を当て、反射した情報を瞬時に読み取ります。

狂ってくると正しく読み取れません。

レーザー出力が弱くなると反射光も弱くなり、読み取りが不安定になります。

人の眼そのものと眼の動きを制御する神経系や筋肉と同じかもしれません。

このレーザー自体を支持するメカや制御する基板回路があり、

ここにも劣化する部品が多数あります。

読み取った01のデジタルデータを補正(傷やプレス状態)しますが、

ここにも問題が出ます。脳の頭頂葉~情報統合と似たような働きかもしれません。

D/A変換部には多数のICが使われます。

ICは集積回路でこれも壊れたり劣化します。一部壊れても動きます。。

さらに劣化するコンデンサもあります。

アナログ出力部にはOPアンプや多数のコンデンサが使われ、

小さなプリメインアンプみたいなものです・・・

大容量コンデンサやトランス、レギュレーターを抱えた電源部は、

心臓みたいなもので豊富なエネルギーを送り出す源です。

これらの部品が少しづつ劣化すると、

ダイナミクスが必要な大きな出力を送らなければならない時に、

想定より小さくなります。左右のバランスも崩れます。

新品時は、若い頃はマラソンもできたり、徹夜や長時間の議論ができても

だんだん億劫になるそれは、身体の劣化が要因の一つ(僕もです^^;)

人は誰もが通る道ですからしょうがない。

CDプレーヤーに限らず、プリアンプやパワーアンプなども同様です。

PHILIPS LHH2000|2台用コンソール

PHILIPS LHH2000|2台用コンソール

今年はこれまで3台のPHILIPS LHH2000のオーバーホールを行いましたが、

整備前の状況はいずれも似たような感じでヌルい状態でした。

過去に入荷したPHILIPS LHH2000で動作するものでも、

本来の然るべきサウンドを感じさせてくれた個体は一台もありません。

もし完全な個体があったら、それは各パートの整備が適切に行われていた

という事かと思います。

40年前のデジタル機器の電子部品が、ある程度マトモならいいのですが、

現実は過酷で、相当くたびれています。

というか動いているコト自体が奇跡!

 

人ではなく、、、工業製品の系からみると、、

・・・下のクルマは1980年に誕生しました。カーオブザイヤーを獲得したクルマ。

Audiクアトロなどはフルタイム4WD画期的でしたが、

2020年の今、このクルマを常用されているオーナーはいないでしょう。

同じくホンダの初代アコードは何台、現存しているか・・・

1980 prodact

このクルマたちはPHILIPS LHH2000と同世代の工業製品です。

1980年当時の性能を維持するためには相当数の部品を変える必要があります。

工業製品の中でオーディオ機器に使われる電子部品だけが

劣化しない、ワケはありません。

『これはオリジナル部品だから音がいい・・・』

オリジナル部品のカタチをした容量抜けや増幅率の不揃いなトランジスタは

ごく当たり前にあります。想定年数(耐用年数)を遙かに超えていれば

劣化するのは当たり前です。

但し、劣化した音や状況に慣れたら、それはそれでいいのです。

趣味はある種の妥協と現実に折り合いに納得できればいいワケです。

 

現実はプロ機だったPHILIPS LHH2000でも、Marantz #7でも、

Mark Levinson LNP-2Lでも何もしなければ新品時の性能の30%ぐらい・・・

出せてれば御の字でしょう。

PHILIPS LHH2000|左側の個体は過去に整備されている個体

PHILIPS LHH2000|左側の個体は過去に整備されている個体

2台のPHILIPS LHH2000はシリアル番号が連番で、

お一人の方が新品時から鳴らされていたもの。

左側のPHILIPS LHH2000は過去に整備がされています。

PHILIPS CDM1ドライブメカが変わり、電源部コンデンサーや

アナログ部コンデンサーなどが交換されています。

右側の個体はおそらく何もされていません。

なので、動作や音も鈍い状況・・・・

 

今回はオーナー様の意向で音が好みのPHILIPS LHH2000を

レストアオーバーホール整備をご依頼頂きました。

PHILIPS LHH2000|2台用コンソール

PHILIPS LHH2000|2台用コンソール

ちなみに左側の個体は約80分のCDデータを読み込みます。右側はフリーズしました。

次回は整備状況をアップしていきます。