STUDER D730MK2のオーバーホール整備
最近はIC不足で難しいですね
STUDER純正コンデンサなどはほぼ全て電解液漏れしてますが、この個体だけではなく、
過去に交換されていない個体はすべて電解液を少しづつ漏らしながら動いていると想像ください。
当たり前ですが、もう30年経ているので当たり前です。
ただ不思議なことに高温多湿の日本では劣化しないと思っている方々多数・・・・
世界でも有数な過酷な温度・湿度環境なのが日本です。
電源ONにしたときはエアコンで25度以下、湿度60%以下にしてあげましょう!
5月~10月ぐらいまでスタジオのように常時通電しているなら24時間エアコンを入れておけば
劣化スピードは抑えられますね^^
この個体は複数台のSTUDER機を保有している音楽家の方が使用されていたもので、
おそらく過酷な使用環境ではなかったと思われます。
未交換だったメモリ電池も液漏れし内部の熱により粉が吹いている状況・・・・
この電池は多機能な操作メモリ用の電源で、音質には一切関係しません。
これをスーパーキャパシタ?に交換すると音が良くなるように思われている方もいらっしゃいますが、
まったく関係ありませんw 単なる記憶用の電池です・・
電池以外に替えたりするケースがありますが当然ですが電池がおすすめです。
今なら液漏れしない電池もあります。
一応このSTUDER D730MK2もしっかり甦りました。
現在はSTUDER系CDプレーヤーやWADIA系のオーバーホール整備の
受け付けは、整備をすすめている段階で入手不可能がICが原因で整備不可になったり、
再修理が必要になったりするケースがあります。
さらに海外から部品輸入の必要があるため、時間もかかるケースがありますので、
余裕がある方のみご依頼ください。
STUDER D730MK2の修理部品の状況
今回行ったSTUDER CDプレーヤーの整備状況ですが…..D730MK2に限らず、
特にA730やD730,D731系はここ最近、部品確保がむつかしくなってきています。
特にIC(集積回路)の入手が困難です。
A725や727などもICを使用していますが、搭載数はそんなに多くはありません。
D730系になると多様なプレイ&モニター機能がついて、半分コンピュータのようになってきます。
下記はA730の内部ですがIC部品が相当数あるのがわかります。
PHILIPS LHH2000やA725、A727は各パートがセパレート基板でしたが、
A730からドライブメカ制御&操作系基板をとメイン基板の3枚のみとなりました。
下記はSTUDER D730・730MK2のメイン基板です。左側のドライブメカの下にある基板は
多機能コントロール基板で表面実装パーツも多くなりました。
右筐体の右ブロックはメイン基板と一緒になった出力基板(トランス)となります。
電源部のトランスがトロイダルへ変わりました(一部部品は外してあります)。
下はA727の内部です。それなりにIC部品はありますがA730以降ほどではありません。
また各基板がセパレート化されトランスは写真センター下に大きなものが搭載されています。
おそらくA730の1.5倍ほどのサイズとなります。出力基板や出力トランスはA730もA727も同じです。
A730は右筐体の右サイドに左右独立してあります。A727は写真左の側面にあります。
両機の大きちがいはセパレート基板、ドライブメカの種類と搭載方法でしょうか!
オーディオ系のサウンドに関わる部品は共通です。
下はA725の内部です。PHILIPS LHH2000に一番近い構成かなと思います。
PHILIPS LHH2000から基板や部品がコストダウンされていますが、素晴らしい内部構成ですね。
A730以降と使われているオーディオ部品は同質です。
その昔、オーディオ誌でA727からA730には大きな差があるみたいな評価が多数ありましたが、
内部を見れば一目瞭然で本質的な差はありません。
同じようにオーバーホール整備して同条件で比較すると音のまとめ方がことなるだけです笑
ポン置きを聴いても本質は何もわからない…..スポーツカーもメーカーから2日ほど借りて、
箱根や往復の高速道路を制限速度無視して走ったところでほぼ何も分からない。。。
SNS浸透して楽しんでいる人々が繋がっていく時代では単なる評論では
いっそう淘汰されていくのかも….もっと加速しそう。。
さて、A725は電解コンデンサやトランジスタが多数使われていますので、その分定期メンテが必須です。
右から2番目のスロットのIC基板がNGになると厳しいものがあります。
一番右は出力基板ですが贅沢ですね
とてもコストがかかっていましたが当時は安く中古価格も安いですね(修理部品が枯渇してきています)
下はPHILIPS LHH2000の各基板の展開写真です。電源部、デジタル部、アナログ部、
アナログオーディオ出力部、制御系、ドライブユニット、コントロール系がはっきり分かれています。
フィリップスLHH2000は見るからに良いオーディオパーツが豊富に使用され、
素晴らしい構成であることがわかります!また発熱がとても多いCDプレーヤーでもあるの、
定期メンテが重要である、という事になります。
結果、、、とても個体差が多く、基板が電解液漏れにで炭化して駄目にしている個体が
多数ありますので購入には気を付けてください。
しかし、トランスの大きさなど凄いですね!
造りは完全にプロ機となりますね、すごいです!サウンドは今でも一級です。
聴いた方ならわかるでしょう・・・・他の数多あるファイルプレーヤーやCDプレーヤーとの差異を。
これが悪いならNEVE、Manleyなどが入ったスタジオで録音・マスタリングされた音源が
NGということと同意かと思う位・・・ 現代の部品で造られた機器とはかなりちがうことがわかりますね。
しかも当時は200万円という格安プライス!!!
ちなみにPHILIPS LHH1000になるとかなり考え方が変わってきます。
これでもか!という物量です。特にDAコンバーターユニットは凄いものがあります。
サウンドは聴き応えがあるハズです。
製造から30年経た今では最終的にNGになったコンデンサなどを何にするか・・・というところに
面白さがあるのかなと思います(現在1セットオーバーホール整備中です♪)
DAコンバーターのアナログ出力部の充実ぶりはかなりです!!
CDプレーヤーのオーバーホール整備は部品的にもなかなかムツカシイ状況になってるかなと思います。
なので扱い方はご注意ください!