used Mark Levinson LNP-2L

1970年代ハイエンドオーディオ、

最初の扉。Mark Levinson LNP-2L

マークレヴィンソンLNP-2L

Mark Levinson LNP-2L

Mark Levinson LNP-2L

ハイエンドオーディオ(ピュアオーディオ)という扉を開けたMark Levinson LNP-2L プリアンプ

JAZZベーシストとしてECMレーベルでポール・ブレイらと2枚のアルバムを残したMark Levinson氏。1967年のPalul Bley / BALLADS /ECMはポールブレイのラディカルな不協和音スレスレなサウンドに、レビンソンの暗く堕ちていくよう内向きなベース。マークレヴィンソンの機器に興味を持ち始めた頃に聴いたアルバム。

Palul Bley / BALLADS /ECM

Palul Bley / BALLADS /ECM

Mark Levinson が1973年に登場させたプロダクトがMark Levinson LNP-2L。当初はもっと大きなLNP-1業務用ミキサーとして登場。たしか、3年程前にアメリカの市場でシルバーのLNP-1が販売された事があった。

1972年Chick Corea/Return to Forever/ECMでメジャーになったチック・コリアが、Mark Levinson LNP-2LやMark Levinson ML2L(10セット)をワールドツアーのアンプセットとしたらしい。時代も音楽もプロダクトも新しい風が吹きはじめた1970年代。

名称未設定 1

同じ頃登場した自動車フェラーリ365GTB/4 BBベルリネッタ・ボクサー。日本ではケンメリの愛称で親しまれた”愛のスカイライン”GTRも1973年のプロダクト。365GTBも愛のスカイラインGTRも味わいは濃厚ですが、車の絶対性能や耐久性が如実にあらわれるサーキットなどでは現代のFerrariやR35 GTRと絶対性能に雲泥の差が出ることは明白。

『そんなこと当たり前だよ』と……

しかし、発売当時の設計者達は「味わい」ではなく、世界最高の運動性能と魅力あるマシーンを生み出そうとしたはず。そうした過去の性能が現代では「味わい」と感じられるのは、より優秀な性能がある事を既に体感しているからで運動性能ではない、他の感性のアンテナが張られると推測。時間の経過は過酷でもあるが、視点を変えるロマンでもある。

名称未設定 2

現在のGTR(R35)のリアタイヤは285/35ZRF20 サイズ。FERRARI 812GTSにいたっては800馬力を315/35ZR20で受け止める。上の写真の愛のケンメリGTRは195/60R15サイズ。車は時代を経るごとにパワーや車格をどんどん上げて来たとも言える。さらに技術のユニバーサル化は自動運転技術が象徴するようにすごいものがあります。

オーディオのファイルプレイヤー云々とかとは次元がちがうよう。クルマはまだ進化・飛躍の過程にあると言っていいでしょう。マーケット規模も深く関係しますが、やはり経営者や設計者の視点がイノベーションを起こすのだろうと思う。

しかし、上記の365GTB/4 BBの艶めかしいカーブは現代のクルマではないもの!熟練した職人だけができたであろう複雑なフェンダーライン、内装のイタリア製鞣し革などの素材は今以上かも。そう言う意味ではMark Levinson LNP-2Lのブラックアルマイト&へライン、アルミ製ノブのデザイン、、、なんと言っても全体レイアウトの妙!や立体感はLNP-2Lならでは。

Mark Levinson LNP-2L 美しい個体です

Mark Levinson LNP-2L

Mark Levinson LNP-2Lとは

話しは脱線しましたが、1970年代のベトナム戦争の閉塞した空気、ヒップなカルチャーなど既成概念から飛躍するべく、登場してきたMark Levinson LNP-2L。当時のマークレビンソンの周りには John CurlやRichard S. Burwen、Ted Jensenらが居て新しいムーヴメントを起こしたのだろうと思います。音楽や文学なども変革していった時代。

Mark Levinson LNP-2L

Mark Levinson LNP-2L

PHILIPS LHH2000と同じ感じの世界観だろうか。

Mark Levinson LNP-2Lは使い勝手の良さもあって、精緻な入力ゲイン設定やRichard S. Burwen(cello PALETTEでも)の理論が活きているだろうトーンコントロールなど使えば使うほどユーザビリティの高さを感じる機器。

ここ数日Mark Levinson LNP-2Lを聴いていて感じたのが、PHILIPS LHH2000(レストア版)のサウンドステージの立ち上がり方とLNP-2Lがかなり似ている事。演奏者間にあるエア感とでも言うか………..

呼吸を合わせ、ふっと和音が広がるあの感じ。

Ted Jensen-Sterling Sound

Ted Jensen-Sterling Sound

Mark Levinson LNP-2Lの耐久性

驚くべきは1973年に登場したMark Levinson LNP-2Lが今でも光を失っていない、という幻想を忍ばせているところ。これは過去40年以上渡りこのプリアンプを所有されてきた方々がつくったもので、ヴィンテージ・ハイエンドの資産でもあるのだろうと思う。

2010年以降のハイエンドプリアンプを多数所有されていてもLNP-2Lを手離さない方々が多く、3人のお客さまに「その個体なら100万円で買い取らせてください」と言っても聞く耳持たない感じです(笑)あらゆるハイエンドアンプを自分のお金で購入されて来た方々がLNP-2Lは懐古趣味ではなく現役機として捉えられているところも面白い所以。

・・・ちなみにそこで鳴っている音を聴いただけではほぼ何もわからない。その機器の音を知るには、迷い悩みながらも選んで、買って、聴いて、使って、聴いて聴いて、鳴ってなくても脳内プレイ(笑)ができて、中身がどんな回路でどんな風に信号が流れているか想像できて、音楽を聴き込みセッティングを幾百通りも試してはじめてわかりはじめる難義なセカイ。

さらに言うと高温多湿な国内にあるヴィンテージハイエンド機は相当に個体差がある。湿度20~30%のロスや低温低湿なN.Yでは電子部品の痛みの度合いがちがう。機器ごとのその個体の音を聴いてどの部品が悪そうかわかるとプロなんでしょうね。。ホント音がちがうので・・・

Mark Levinson LNP-2L|カップリングコンデンサーなどもオリジナル部品と同じパーツを交換

Mark Levinson LNP-2L|カップリングコンデンサーなどもオリジナル部品と同じパーツを交換

凄さで言えば、Mark Levinson LNP-2Lの【耐久性】。今でも現役の座を死守すらんとするところは高い耐久性があるから。使用されている部品には当時の軍事規格モノが多数で40年以上を経た現代でも交換が効くところは凄いものがある。LNP-2Lでも消耗部品があり、交換しないで本当のサウンドは維持できない。

中身を見て駄目になる部品がどれか?いくつあるか数えられますか?どういう状態になっていたらNGか分かりますか?機器なので左右差が出てきたり、±の「+」側の部品が危うい状態だったり、リレー部品がNGだったり、片CH側だけ半田クラッシュがあったり。数十年使用していればズレていき、整備後の最後の調整だけでも音はガラリと変わる。

オーディオに限らず40年以上経た機器が不変なんてことは使用部品上ありえない(笑)機器の音ではなく”音楽”を聴けばおのずと答えが出る。ある程度、距離を走ると感触が変わる高性能なクルマがその典型。

Mark Levinson氏自身が使用していた機器も多数の消耗部品が変更されてる次第で…..高性能なものは繊細で常に変わっていく。だから音楽を聴く。この場合、機械いじりの音を聴くわけではないのでデジタルソースでも良い。入力装置の環境変化はなるべくない状態で聴き続ける・・・・5年を一つのスパンで考えればながーく第一線で聴けるはずです。

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プリアンプ。性能的には現代のハイエンド機器が優秀で、来年、再来年、数年後にはもっと優秀な機器が出てくるでしょう。しかしMark Levinson LNP-2Lは現代ハイエンド機の設計者が若い頃の才能で生んだオンリーワンなズルいプロダクト。

あたらしいPorsche 911が登場すると空冷930の味わいが再確認される。新しいMark LevinsonプリアンプとLNP-2Lとは別の意味をもっていくと考えるのは僕だけだろうか。LNP-2Lのデザインのシズル感が1973年Porsche 911″ナナサンカレラ”と同等(以上?)だと思うのは僕だけではないハズ。

Mark Levinson LNP-2L

Mark Levinson LNP-2L

先日発掘発売されたMiles Davisの新譜や、かつてMark Levinsonも録音したECMレーベルなどは LNP-2Lの世界観とベクトルは同じように感じる。組み合わせるパワーアンプはLINN SOLOも面白いセット。同じMark Levinson No.20シリーズも当然ハマるサウンド。私的にはcello AUDIO PERFORMANCEで聴いてみたい!

 

Mark Levinson LNP-2Lの販売⇒

Mark Levinson LNP-2Lの買取(800,000円以上)⇒


Mark Levinson LNP-2L ハーマンジャパン抜粋

Mark Levinson創業者マークレビンソン、当時プロオーディオ用として開発されたばかりのBurwen社の高性能オペアンプ・モジュールに目をつけ、 これを主要回路として用いたモジュール形式のローノイズ・プリアンプ “LNP-1”を開発、1973年のAESへ出展すると発表します。しかし大きな二つのVUメーターを持つ19″ラックマウント式のこの巨大な業務用プリアンプは、日の目を見ることはありませんでした。

代わりにこの年AESに出展され世界中の注目を集めたのが、VUメーターを小型化し、高さをLNP-1の約1/2に抑え、実用的なサイズにリメイクされた“LNP-2” だったのです。LNP-2は、当時群を抜く高性能プリアンプでした。Burwenの高性能モジュール、プロ用音響機器から流用された超高精度ボリューム、そしてその類まれな高S/N性能がもたらす静寂感は他の追従を許さず、世界中のオーディオメーカーがこぞってこれを研究したと言われています。LNP-2はハイエンド・オーディオという新しいジャンルを確立したという点でも、まさにエポックメイキングな製品でした。

1974年、レビンソンはBurwen社のモジュールに替えて自社開発のオリジナル・モジュールを搭載したスリム設計の「フラット・プリアンプ」“JC- 2”を発表します。設計者のJ.Curlはレビンソン氏と親交の厚いエンジニアの一人で、既に彼の設計によるJC-1というMCヘッドアンプが製品化されていました。JC-2はLNPの特徴であったVUメーターや3バンド・トーンコントロールなどの機能を省き、徹底したシンプル化により更なる高音質化と共にロープロファイル化を図った、後のマークレビンソン・プリアンプの基礎となったモデルです。

LNP-2もBurwen社製からMLオリジナル・モジュール仕様に変更され、1977年には医療機器や物理学測定器などの特殊な用途に用いられていたCAMAC方式の接続端子“LEMOコネクター”による入出力端子を装備した“LNP-2L”へと進化します。

この年、JC-2をベースとしJC-1MCモジュールを内蔵させることで、当時ハイエンド市場で主流となりつつあったMC型カートリッジへの対応を図った“ML-1L”が登場します。