アルミ電解コンデンサの寿命と、AR Limited Model 6 オーバーホール整備

Acoustic Research Limited Model 6|ARイコライザーのOH整備と電解コンデンサ寿命考。

Acoustic Research Limited Model 6|オーバーホール整備

Acoustic Research Limited Model 6|オーバーホール整備

当時魅力的に映ったAcoustic Research Limited Model 6

Model 6はたしか1990年代半ば頃、ハンマートーンのようなテイストの色合いで登場した、

一連のプリアンプ、パワーアンプ、パラメトリックイコライザーのAcoustic Researchモデル。

まだマークレビンソンやcelloは価格的に手が届かなく現実的なラインで登場したのがARでした。

このモデルの開発ディレクションがMark Levinson氏のグループ。

Acoustic Research Limited Model 6

Acoustic Research Limited Model 6とcello AUDIO PALETTE

今回整備をご依頼頂いたお客様は2セットのシステムで音楽を楽しまれています。

cello AUDIO PALETTEやcello SUITE、cello PERFORMANCE、cello Strad Masterなどを

中心にしたオールcelloのシステム。もう一つのシステムはAR Model 6やMark Levinson、JBLなどで

構成されたシステム。

Acoustic Research Limited Model 6

Acoustic Research Limited Model 6|修理・オーバーホール整備

Acoustic Research Model 6は6バンドのパラメトリックイコライザーで、

役割的にはcello AUDIO PALETTEと同じようなイコライジングですが、、

内部構造は相当にちがうモデルでコスト的な制約が、

搭載している部品や基板的にも現れているのが一目でわかるでしょう。。。

Acoustic Research Limited Model 6とcello AUDIO PALETTE

Acoustic Research Limited Model 6とcello AUDIO PALETTE(電源別)

AR Model 6は電源部が筐体内に入った一枚基板の一般的なオーディオ機器。

cello AUDIO PALETTEは各回路や左右チャンネル、バランス回路によってセパレート化された基板で、

7枚のメイン基板があり、+-信号でもセパレート化された凝りよう・・・凄まじい・・

内部を見ていくと現行ハイエンド機器が使用しているパーツの多くは既に使用され、

それらのコストダウンがされていない時代の部品が使用されているのが目を引く。。

パレットの電源部は別の筐体にA級 片CH25Wほどのパワーアンプぐらいのトランスが入った電源。

なので?部品点数は恐ろしく多いけどオーバーホール整備した際に交換する部品点数は想像以上に少ない!

Acoustic Research Limited Model 6|電源部コンデンサ液漏れ

Acoustic Research Limited Model 6|電源部コンデンサ液漏れ

上の写真はAR Model 6の電源部の電解コンデンサですが電解液が漏れていました。

幸いにも基板は無事でしたが近くにはトランジスタもあるので、

あと1,2年遅かったらどうなっていたか・・・静電容量は30%以上落ちた状態でしょうか。

 

・・・電解コンデンサの寿命に関わる件。

電解コンデンサの寿命は「アレニウスの法則10℃2倍則」で計算できるようです。

温度と使用経過時間です。。下記はTDKのサイトから

TDK

TDKサイトから掲載

上記は1984年にスヴァンテ・アレニウス(スウェーデン)が発表した、

電解コンデンサの温度による化学反応の速度を予測する式です。

コンデンサ電解液の揮発は温度と関係していて、アレニウスの法則の化学反応速度論はほぼ正しく

電解コンデサは経過時間ともに揮発し、劣化・消耗していく・・・

誰のオーディオ機器に等しく起きる法則と言えるでしょう。

 

使用温度が10℃上がればコンデンサの寿命は2分の1になり、 10℃ 下がれば寿命は2倍になるという法則。

当然、部屋の気温も関係してくる事は言うまでもありません。

他にもファクターがあり、湿度も関連してきます。

 

イコライザーやプリアンプの常時電源ONにすると・・・

例えば規格として『105℃ 5,000時間』耐用の電解コンデンサを24時間で稼働した場合、

計算上は半年しかもたないことになります。これはこの電解コンデンサの最高耐用温度である

105℃で使った場合の寿命となります。仮に95℃で使えば1年、85℃で使えば2年、75℃なら4年になります。

そのためメーカーはいかにして電解コンデンサの『表面温度』を下げるかが

腕の見せ所になります(電源ナビ)。

 

という事は、プリアンプやイコライザーなどで発熱が大きいケースは割と攻めた設計で、

消耗部品は定期的に交換してくれ、という事になります。

スタジオ機器は定期メンテが前提なので問題ありませんが、コンシューマ機器は一般ユーザ様の

知識や経験によるものから同じプリアンプでも個体差が大きい要因かと思います。

 

プリアンプ電源部のコンデンサ

過去200台以上、販売・整備しているMark Levinsonのパワーサプライ、

PLS150~153などのSPRAGUE 53Dがしっかり交換されていた割合は1割もありません・・・

修理履歴があるものはちっこいコンデサが日本製になっているパターンが多数・・・

cello AUDIO PALETTEの交換部品

cello AUDIO PALETTEの交換部品

コンデンサの寿命に関しては様々な考え方、使用用途、パターンがあり一概には言えませんが、、、

確実に、重要なのは電解コンデンサの『表面温度』にあるという事です。

あくまでオーディオ機器の基本性能はアクセサリーなどの外的要因からサポートする事が本質ではなく、

オーディオ機器内部の部品の状態をいかにオリジナルを準拠しつつ、良く保つかということかと思います。

そのポイントとなるのが部品の状況、筐体内部の温度や基板の状態だと言えます。

 

特にプリアンプは長時間電源ONにする事が多いので気を留めてあげてください。

先日オーバーホール整備したVIOLA CADENZAもNGな部品はコンデンサでした。

VIOLA CADENZA プリアンプ|中古ヴィオラ カデンツァ

VIOLA CADENZA プリアンプ|中古ヴィオラ カデンツァ

一般的にパワーアンプは音楽を聴く時に電源ONし聴き終わるとOFFにしていると思いますので

実はそう過酷ではありません。クラスA級アンプのマークレビンソンNo.20シリーズやML2Lは、

発熱源のトランジスタが筐体の外側に出ています。KRELLなどは強制空冷モデルが初期でした。

なので大きな平滑コンデンサが液漏れを起こし交換する事は稀です。

ただある製造年代のあるメーカーのコンデンサの一部に生産不良が

あったためそれらは留意する必要があります。

最近は静電容量が比較的小さいコンデンサを多数使う傾向がありますが、

10年、15年後、それらの状態をシビアにみる必要があるでしょうね。

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LINN klimax SOLO BP dps/ver.UP版 |エアコンONでも冷却ファンを使用しながら・・・

昨今、日本国内の夏場の気温の高さは一種異様ですので、エアコンOFFの時などは

電源ONしているプリアンプの内部はかなり厳しい状況ですので性能を維持し長持ちさせたいなら

電源OFFにされてください。もしくは静音ファンを多用ください。

先述の『・・・仮に95℃で使えば1年、85℃で使えば2年、75℃なら4年になります。

そのためメーカーはいかにして電解コンデンサの『表面温度』を下げるかが腕の見せ所になります』

がポイントです。

 

夏場の留守中のリビングのLINN klimaxシリーズなども電源OFFがおすすめです。

プリアンプ

発熱対策を心掛けたいプリアンプ

 

 

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