レアケース、STUDER A730業務用CDプレーヤーの
オーバーホール整備とUPグレード。
過去の整備がとても悪い状態のスチューダーA730の蘇生とオーバーホール&UPグレード整備。
このSTUDER A730は4千番台後半の個体でとても希少なA730で外観が綺麗な個体。
ところが内部基板はイレギュラーで反則技満載の超レアな個体でした。

製造番号4番台後半のSTUDER A730|スチューダーA730業務用CDプレーヤー
スチューダーA730|過去の整備履歴がかなりレアなケース・・・・
今回不具合の症状が出てオーバーホール整備とUPグレード整備依頼を
頂いたスチューダーA730ですが、過去の整備でいくつものイレギュラーな仕様や部品選択がされていました。
例えば、下記の写真はSTUDER A730メイン基板の電源部で本来は4700、2200μFの電解コンデンサーを
装着する箇所に6800μFのコンデンサーが2本取り付けてありました。
当然指定容量にすべき箇所です。

STUDER A730|電源部、4700μFと2200μF指定箇所に6800μFが2本取り付けてありました。
通常は下記のサイズのコンデンサが取り付けされています。

STUDER A730|純正電源部
下の写真はメイン基板裏側でRCA回路しか通らないような裏配線がしてあるため
A730の特徴でもあるトランスを経由するXLR出力回路を通らなくなります。

STUDERA730|写真箇所をジャンパー配線!RCA信号出力とXLR出力が同じ出力になってしまいます。
過去に例をみないイレギュラーな整備(改悪)がされています・・・
さらに、デジタルフィルター回路後段にクロック回路が装着されています・・・
この部分には当然、不要です。フィルターにクロックは要りません。

不要な回路基板

STUDER A730|フィルター回路後段に水晶基板が装着
また、メイン基板ブリッジダイオードの裏にさらに整流ダイオードを取り付けてありました。
純正にはありません。

STUDER_A730|ブリッジダイオードの裏にさらに整流ダイオードを取り付けてありました。

STUDER A730|電解コンデンサーが積層セラミックに交換されておりました。
他にもいろいろありますが、正確な電圧・電流で動作していない状態でこれまでよく壊れませんでした。
STUDER A730・スチューダーA730の整備

STUDER A730・スチューダーA730|ドライブメカ周りの分解整備

STUDER A730・スチューダーA730|DAC IC ソケット&フイルムコンデンサー(独WAMA)へ交換

STUDER A730・スチューダーA730|出力部のオーバーホール整備
下が今回の出力基板、上は別の個体の出力基板です。

STUDER A730・スチューダーA730|出力部の整備
国産部品へ交換されていた出力基板のコンデンサーをドイツ製コンデンサーへ交換。
オペアンプをオランダPHILIPS&Burr-Brown製へUPグレード。
UPグレード部は電源部の3端子レギュレーターなどを高速化させ安定化しています。

STUDER A730|アナログ部の電解コンデンサーの容量測定、かなりの劣化あり。
STUDER A730・スチュダーA730|劣化パーツ&イレギュラー部品の交換

STUDER A730・スチューダーA730|交換部品
過去の整備が2回ほどあり、銘柄が混合していました。

STUDER A730・スチューダーA730|コンデンサー交換部品

STUDER A730・スチューダーA730|オペアンプなどの交換部品

STUDER A730・スチューダーA730|多数接点があるフラットケーブル、ソケット類なども新品へ交換

STUDER A730・スチューダーA730|フィルムCも交換しました
整備後の性能テストです。ほぼ左右CHがマッチした結果です。

STUDER A730|1KHz 基準信号 左右CHとも歪率 0.01%台と優秀な成績です。

STUDER A730|1KHz 基準信号 波形観察|左右CH良好な波形です。
3日以上の動作テスト|STUDER A730業務用CDプレーヤー

STUDER A730・スチューダーA730|水平スタンド設置も含めた動作テスト

STUDER A730/スチューダーA730 業務用CDプレーヤー
今回の個体は復旧不可能になる可能性もあった個体でしたが、
現在、通常使用における動作テストも4日目で好調に鳴っています。
シリアル番号4千番台後半のSTUDER A730オーバーホール整備ログでした。

スチューダーA730業務用CDプレーヤー整備済