プリアンプが変わると、やっぱり世界がかわる?!
USEDミドル・ハイエンドレンジのプリアンプ・レビュー
Jeff Rowland Consummate|cello Encore 1MΩ|KRELL PAM3 |
LINN klimax kontrol | Mark Levinson No.32L
今年に入って下取や買取したり、オーバーホールした個体、
僕個人のプリアンプを合わせた【一言レビュー】です。
試聴盤はKRELL PAM3 で聴いた3枚。
Holly Cole/temptation/Alert Records
女性ボーカ盤、主役の声の密度感がどう鳴るか?またベースの表現の深さ、トム・ウェイツの解釈も面白い盤。
Rachmaninov Piano Concerto 2 & 3 C.Abbado Berlin Phil. Orchestra, Lilya Zilberstein (P)
アナログ録音でラフマニノフ・ピアノ協奏曲3番の第1楽章。ロシア&北ヨーロッパの薫りがとても濃厚な演奏がどう鳴るか?
David Dorůžka/Hidden Paths/CUBE METIER
ギタージャズトリオ、東欧のダークな空を思わせるコンポジションとケンドリック・スコットのドラムスの対比などどう表現されるか?
ミドル~ハイエンド・プリアンプ6機種を一気聴き。
今回聴くプリアンプはJeff Rowland Consummate、cello Encore 1MΩ、KRELL PAM3、
LINN klimax kontrol 、Mark Levinson No.32Lの5台です。
このレビューの動機はクレルのPAM3オーバーホール整備版が思いのほかよかったので、
他プリアンプと比較した時はどうなんだろう?という好奇心から。
書くプリアンプの通電時間は2時間ほどなので短いかも知れません。。
まずは同時代に登場しているJeff Rowland D.G.のConsummateから。
Jeff Rowland D.G. Consummateプリアンプのレビュー|ジェフローランド・コンスメイト
あまりご存知ないかもしれませんが、ジェフのコンスメイトは
かつて傅 信幸氏が鳴らされていたプリアンプで、1990年代初期に登場。
A級バランス回路でデジタルボリュームの先駆けです。
女性ボーカルのHolly Cole/temptation/Alert Recordsは意外なほど主役が前に出る。
リモコンで位相を替えても印象はそうかわらない。
そしてサウンドステージが広い(大きい!とメモ)
声の質感が僅かにハスキーだろうか?描写はとても細かい。
アバド&ベルリンフィル、ジルベルシュテインのラフマニノフ3番1楽章は
とても奥行感が出て弦が美しい音色でふわっと鳴る。
ピアノは若干細く鳴るかな…..プリアンプとしてのコスパがとても高いな!と思います。
ジャズのギタートリオ、David Dorůžka/Hidden Pathsでのケンドリック・スコットの
ドラムス、シンバルの色合いは多彩だけど若干薄味。
女性ボーカルモノやクラシック全般ではとてもコスパが高いプリだと思います。
cello Encore 1MΩ PHONO オーバーホール整備版|チェロ・アンコール・プリアンプのレビュー
ゲイン設定を「23」として。
オーバーホール整備をしたcello Encore 1MΩです。
Audio Dripperでは過去年間7~10台程扱うプリアンプです。
オーバーホール整備依頼を入れると年間20台ぐらい聴くでしょうか。
しっかりした回路とこだわりの電子部品で構成されたプリアンプ。
今回の個体は2019年に消耗部品などを交換したアンコールです。
女性ボーカルのHolly Cole/temptationは声の印象が若く、
ナチュラルで滑らか。『いい音!!』とメモ。
ボーカルがグッと前に出て、ベースがソリッドで締まる表現。
ラフマニノフピアノ協奏曲 第3番第一楽章は薫るようなサウンド、ダークさよりも優雅。
ダイナミズムあるピアノ。
David Dorůžka/Hidden Paths、2004年リリースのコンテンポラリー・ジャズギタートリオ。
線が僅かに、、若干、細いかな?という印象 ……….と言ってもKRELL PAM3と比べた場合。
ケンドリック・スコットのシンバルの精緻さやワザが見える様よう。
左右に振ったドラムスセットのレイアウトも伝わります。
ギターとベースのユニゾンも心地いい。
cello Encore 1MΩ初期は安定的に良いのかなと思います。
・・・・現在70~100万円程の新品プリアンプと比較するとどうなんでしょう?
アンコールプリのメインボリュームやゲイン設定、インプット、、、触れるとニヤッとします^^
音だけじゃない感触や歴史、拡張性・発展性など愉しみの幅もありますね。
KRELL PAM3プリアンプ オーバーホール整備版|クレルPAM3 レビュー
クレルPAM3は先日のレビュー内容とかぶりますね(…苦笑)
ミュージックラバーとしてPAM3を聴いた時、ラフマニノフ以外はほぼNo.32Lと肩を並べるくらい。
もしかするとJAZZ系はかなり良いです。
オーバーホールしてからのKRELL PAM3プリアンプは、JAZZ(バップ~ECMまで)や
ボーカルもの、打ち込み系、ブラックミュージックあたりだとかなり良い結果になると思います。
守備範囲がとても広いです。
課題はヨーロッパやロシアなどのクラシック音楽のダークでアンニュイな表現・・・
逆に簡易レビュー時にこうした部分が気になるほど、かなりレベルが高いプリという事ですね。
・・・イタリア系オペラなどは逆にとてもいいです。
総じてとてもいいプリアンプでPAM3を見直したほどです。
LINN klimax kontrol プリアンプ【僕、個人のです^^】
さて、LINN klimax kontrol プリアンプ、dpsが付いていない初期のクライマックス・コントロールです。
僕個人のプリです。どんな結果か^^;;;
ホリー・コールのボーカル音離れがいい。しかし声がハスキーでボディ感がない。
・・・若干だけど立体感に乏しい。
アバド&ベルリンフィル、ジルベルシュテインのラフマニノフ3番1楽章は、
奥行が深くスピーカーの存在が消える、落ち着きある展開。
『果汁感あるサウンド』とメモ。若干意味不明ですがピアノの立ち上がりも良い感じ。。
チェコスロバキアのDavid Dorůžka/Hidden Paths、コンテンポラリー・ジャズギタートリオは、
ステージが狭く、ドラムスのシンバル類が繊細、ベースが暗い・・・ギターのボディ感が若干乏しい。
・・・今回のJAZZ盤は他プリアンプと比較しても今イチかな。。
大好きなプリアンプなので、なんとかします^^;
Mark Levinson No.32L【オーバーホール整備】プリアンプレビュー
ホーリー・コールはひた~っと浸透力がある表現。声の密度が一番高い。
サウンドステージの高さやワイド感も充分。
アバド&ベルリンフィル、ジルベルシュテインのラフマニノフ3番1楽章は、
暗さや歴史を感じる表現。モスクワの表通りから一歩入ったところを歩いた事がある方、、、
地下鉄のホームに驚いた事がある方ならならわかると思います。今回のベスト!
弦の美しさ(わりとマスで録った弦)やピアノのダイナミズムなどもベストでした。
チェコスロバキアのDavid Dorůžka/Hidden Paths、アメリカ発のジャズではない匂いまで伝わるNo.32L。
ケンドリック・スコットの才能を感じるし、シンバルにも”芯”がある。
『マッシモ・ビオカルティのベースの”意味”が伝わり、それぞれのスペースがある』
とメモ。
若干、絶賛気味ですが、 今回の中でMark Levinson No.32Lは他プリアンプの2倍以上の
プライスで販売されていたプリアンプで、オーバーホール整備後1か月ほどなので、
当たり前と言えば当たり前かもしれませんが、
Mark Levinson No.32Lが真っ当に力を発揮していることが客観的にわかりました。
【プリアンプを変えると、世界が変わる】という事をあらためて認識しました。
プリアンプ(コントロールアンプ)はシステムの頭脳・脳神経系だと思うので、
対象:音楽の解釈が大きくかわるのだと思います。その最たる例がOLD KRELLだったりします。
プリアンプは設計者の意図やディレクターの音楽経験が色濃く反映される、
プロダクトだと思います。なので、このあたりのUSEDプリアンプの試聴はとても楽しい。
さらにしっかりオーバーホール整備すると応えてくれるプロダクトだと思います!
今回の収穫はKRELL PAM3と Mark Levinson No.32Lでしょうか。
上記2台はオーバーホール整備したせいか、入荷した時とダンチに良くなりました。
PAM3はは整備込の中古プライスが40万円ほど。
表現するサウンドを思うと超リーズナブルだと思いました。
cello Encore 1MΩは安定したの良さがあり、感触や佇まいなどモノとしての
魅力やオリジナリティからヴィンテージROLEXなどにも通じるものを感じます。
Jeff Rowland Consummateもコスパが高いプリアンプでした。コンセプトが斬新でした。
今回のレビューではパッとしませんでしたが、、、ボクのLINN klimax kontrol 無印 。
佇まい含めて好きなので、ずっとつかっていくと思います。