50年前のジムラン!
JBL SA-600プリメインアンプの
オーバーホール整備
50年前のトランジスタアンプの劣化パーツ交換・調整
JBL SA600の状態とは?
プリメインアンプはプリアンプとパワーアンプが合体したアンプである事はみなさんご存知ですね。
入門用的な位置づけで、一度はつかわれた事がありますよね??
僕が10代の頃は798(ナナキュッパ)戦争と言われる時代があり(笑)、
サンスイやソニー、デンオン、オンキョー、パイオニア、マランツなどから
79,800円のアンプが販売されて598(ゴキュッパ)のスピーカーと合わせる事が流行ってました。
各社価格やデザインも似たような黒いカタマリ。。
日本らしい商品開発とも言えるのかもしれません。
一筐体の中に多機能なプリアンプと100W以上のパワーアンプの組み合わせは過酷とも言えますね。
おそらく発売されたほとんどの個体はどこか壊れていると推測します。
・・・世界ではファンが少ない?プロダクト・・・
その当時に既にJBL SA-600はヴィンテージプリメインとして存在していました。
デザインやつまみ類の形状、ランプなど素晴らしいレイアウトで、
突き詰めたようなデザイン・・・・
実は内部コンストラクションも練られた構造でした。
そして何より瑞々しいサウンドが魅力で今なお整備すると
現役で活躍できるプリメインアンプ!
JBL SA-600整備
EIコアトランスにモトローラのシングルプッシュ。SG520の技術なが活かされたプリメイン部が写真下です。
パワー部が写真上部でシンプルです。このアンプを長持ちさせる場合、
天板から上部へファンを設置すると内部の熱が排出できます。
その分ドライバー段の部品の劣化スピードが遅くなる可能性があります。
下記はトランジスタの状態を計測中。問題ありません。
計測する場合は整備前と各基板の劣化電子パーツを交換してからとなります。
上記はモトローラトランジスタの電流計算ですが、ほぼ充分な出力値が得られましたので、
この場合オリジナルTRがベストとなります。当然AB左右チャンネルの電流/増幅率も揃っています。
ちなみに50年前のオリジナル部品(特に小さなコンデンサ)は消耗していました。
この手の部品は未使用でも劣化するのは周知ですよね??
当時のデッドストックで使用できるものはマジで稀です。
20個以上は電気を貯められないような状態。回路上の設計数値をオリジナルとする場合は
当然交換します。形状がオリジナル・・・・?なら現状でいいかも。。
過去に数個の部品を交換した修理がしてあります。概ねオリジナル部品ですが、状態は下記のような感じ。
コレだけがこういうワケではありません。コンデンサには賞味期限があります。
上記はドライバー段基板ですが、中身が熱で膨張しています。いずれもNGでした。
下記は液漏れし浸蝕していたコンデンサ。約50個ほど交換しました。
JBL SA600にはトグルスイッチが複数使用されています。
ところが内部はプラスティックが使用されいるので使用環境によって加水分解が進行しワレます・・・
割れたプラスティックを再生します。一度割れているため弱くなっています・・・
今後この部品は危ない領域にいくと思われます。。。湿気と気温が大敵ですね。。
プリアンプ部の整備、約20個ほどの消耗部品の交換となります。
上下はAB左右チャンネルの歪率ですが、電圧誤差分を考慮してもピッタリ合ってます。
計測・調整結果から、ボーカルソースやソロ楽器は音像がビシッと揃うはずです。
もしボヤっとする場合は部屋やスピーカー、上流ソースが要因・・・計測結果上からはこうなります。。
1週間ほど動作確認をするのですが、約50年前とは思えない瑞々しいサウンド。
同時代のジムランL88も闊達に鳴りました!このセットがカッコイイです!
ちなみにS9800もレンジは欲張らずに伸び伸びと鳴りました!
おそらく音楽好き、JAZZ好きならタマラナイサウンドなんじゃないかと思います。
ランプ切れも修理済み。
50年前のトランジスタオーディオ機器が蘇る事は凄いことだと思います。
現代のオーディオ機器やデジタル機器は半世紀後には修理できない可能性が高いのではと思います。
もしかすると、このJBL SA600が整備…..できているとしたら凄いですね。