Mark Levinsonを巡る思考

Mark Levinsonを、巡る思考。

押し切るエナジー&静かなる狂気

used audio shop

お客様とメールのやりとりをしている際に、

興味深いテキスト(グレー文字)を頂きましたので、

許可を得て抜粋させて頂きます。

レビンソンアンプがお好きな方だと思いますので、

バイアスも充分にある前提で、ご一読いただけると幸いでます。

内容は適宜加筆修正しました。

Mark Levinson LNP-2L|中古マークレヴィンソン・プリアンプLNP-2L

【レビンソンサウンドとは】

通常のアンプのサウンドは、映像に例えるとカメラを通した映像になります。

現代のハイエンドプリアンプはおそらく8Kや高額なものは16K、

といったところだと思います。

場合によってはレンズ越しの映像は遠距離と近距離までカバーしますが、

焦点が合わない部分が出てくるかもしれません。

レビンソンのサウンドは絵画のように聴こえます。

画家が遠景も近景も人間の目で照準を合わせ描いたものです。

したがってすべてに照準があっているように感じます。

これが自然か否かは受け手の感性や想像性に委ねます。

さらにオールドレビンソンは版画の世界になり、チェロは精密画になります。

中古 Mark Levinson LNP-2Lプリアンプ後期

Mark Levinson LNP-2L|レビンソン・プリアンプ

設計や音作りにあたって悩んだのは音源だと思います。

レーベルやミュージシャンの色付け、あるいはエフェクトされた音を、

どれだけオーナーとなる人に理解させるか?

レビンソン自身は自分でもう一度スタジオ機器を作ろうと思ったはずです。

これがLNP-2(L)です。これはリファレンス機器であり

販売目的はなかったと思いますが、

販売したところ高額にもかかわらずよく売れました。

しかもそのほとんどが日本で完売しました。。

ハイエンドオーディオという市場の誕生でもありました。

マークレビンソンというブランドの礎を築いたのは日本であったと思います。

さらにオーナーとなるべき人への訴求として、

システムの支配力を重視したと思います。

プリアンプを交換しただけで『こんなに音が変わる!』、

というサプライズを体感できるサウンドを訴求しています。

この効果は非常に大きく、全世界で売れ、

マークレビンソンというブランドをトップレベルに押し上げました。

 
【オールドレビンソンとチェロ】

どちらもまずリファレンス機を作っています。

チェロの場合はAUDIO PALETTEやAUDIO SUITEです。

私の場合、ML-7Aを聴くとチェロを聴きたくなり、

またその逆にもなります。

Mark Levinsonご本人が使用されていたcello AUDIO SUITE

Mark Levinsonご本人が使用されていたcello AUDIO SUITE

好みの問題なると思いますが、

違いはオールドレビンソンは対峙して聴くものでありますが、

チェロは優しい。対峙しなくても迎えに来てくれて包み込んでくれる。

エネルギッシュな方はオールドレビンソンが好みになると思います。

私の場合年齢的に古希が迫るこの頃です。

徐々にチェロに傾いていくような気がします。

cello  Reference シリーズ

cello Reference シリーズ

Mark Levinsonを巡る、思考。

お客様の比喩にあった『版画』・・・ベトナム戦争の長期化によって既存社会に疑問を抱きはじめた1970年代のアメリカの若者達。新しい音楽やオーディオを生み出そうとしていた彼らは、自分達の個性で対象(音楽や音楽家)をどう描くか、という思想や思念が今以上に色濃く宿っていたのかもしれません。当時はそれが無色透明を目指していたとしても。

一方で『8K』や『16K』などの数値に置き換わる高解像度は誰もが一様に判断できる要素でわかりやすい。マーケットの多様化でハイエンドオーディオにもそうした指標が強く顕在化してきたとしても不思議はありません。

またレビンソンとチェロの差異について。OLDレビンソンと比較した場合、cello(cello ENCORE 系)は精密画とは云い得て妙だと思います。チェロ製品のエネルギッシュな表現はcello AUDIO SUITEやcello AUDIO PALETTEなどマスターパワーサプライで駆動されるリファレンスシリーズで聴かれます。精密画に油絵の重みが加わるイメージでしょうか。アンコールでもリファレンスでも製品毎の個性であり、優劣ではありません。(現在ではしっかり”センス”よく整備されている事が前提です。)

cello AUDIO SUITE pre-amp-used

リファレンスシリーズの”重み”や”濃さ”は、現代ハイエンドともちがう個性なのかなと思います。推測していくとドイツEROやSPRAGUEなどの部品の余裕のある作りやある種の”不純物”の差も影響しているかもしれません。ブランド&設計者の音作りにおいての焦点のちがいも大きいでしょうね。

ヴィンテージハイエンド機と現代プリアンプとの大きなちがいは作り手の我儘な個性の反映度合いや、市場のグローバル化によりハイエンドオーディオ機器が様々な国の方々がターゲットであることも理由かもしれません。

Mark Levinsonブランドがはじまった頃の経営はレビンソン本人が中心にやっていたのだろうと思います、次にマーク・グレージャーをCEOとするマドリガルとなり、次にグローバル企業のハーマングループに移り、資本に対する結果はこれまで以上にシビアに求められるなど、創業当時にあったオーディオの理想追求とは異なる要素が求められてくるのは否めません。商品・ブランド展開を振り返れば一目瞭然です。

1980年代後半頃からオーディオに限らずプロダクトの生産背景や市場が大きく変わってきた背景は無視できないでしょう。1980年代……数年後、モザイクによるブラウザで情報が一瞬で世界に広がる時代が始まりました。

2020年の未来を間近にした今、使い手は自由で、好きな時代の、好みのオーディオをとことん楽しめばいいと思います!古いものがイイとか現代のものが最高とか、どの製品が一番とか、硬直化する選択枝ではなくて、良いサウンドはいくつもいくつもあるのが今なのかもしれません。物語はAyreでもVIOLAやコンステレーション、FM Acoustics、LINNでもいくつもあるはずです。

cello ENCORE プリアンプ&パワーアンプ

OLDレビンソンは音楽と対峙する

celloは音楽が迎えに来て包み込んでくれる

こうした相反する2つの要素を1970年代から1980年代の僅かな期間にプロダクトを具現化し、世界観を提示したMark Levinsonは稀有な才能だったと思います。

しっかり整備したMark Levinson LNP-2LやML6などは今でもエナジーが充満して若さ溢れるプロダクトですし、静かな狂気で圧し迫ってくるcello AUDIO SUITE&cello AUDIO PALETTE、cello PERFORMANCEなども魅力です。cello ENCOREシリーズの高い完成度も心をくすぐります。最近、修理依頼のためcello ENCORE 1MΩをシステムから外した際に『マジックが解けたようです・・・』とおっしゃった方がいました。決して性能や価格ではないなにかを聴かれているんだと思います。

おそらく911、311など常識や既存社会が根底から揺らぐ出来事があると、哲学やアートや音楽・文学、プロダクトも変革し人々の意識もかわってきます。今がそういう時代なのかもしれません。便利で安易な方へ転がるか本質を追求していくかはその時代を生きる僕らの意思でもあるのかもしれません^^;

・・・これからもオーディオ取り巻く世界を変遷していく人々が多々登場してきて、盛り上げてくれる時代が来ることでしょう!

シェアする